尾木ママ講演会より③ IQからHQへ、学歴から学習歴へ

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2021.09.24

IQの時代からHQの時代へ

教育においては、「多様化」が一つのキーワードです。その中で、学びがどうなっていくのかについてお話したいと思います。

IQ(Intelligence Quotient、知能指数)の時代はもう終わりました。AIが日常に入り込んできたことで、IQからHQ(Humanity Quotient、人間性知能)が問われる時代へ。これからはHQの時代だと脳科学者たちは言っています。スマートフォンで調べればわかるなら、知識量の多さは重要ではなく、人間力の高い人の重要性が高まるというわけです。なぜならロボットは豊かな心、感情を持っていないからです。

アフガニスタンではカブール陥落の随分前からアルカイダによって地方の女子校は閉鎖されました。軍事拠点にするためです。子どもは学校に行けないんです。今、戦場では、無人ロボットやドローンが殺戮に使われています。HQの低い人がAIを用いるようになってしまったら、そうした無人の道具を人を殺すために使ってしまう危険性があるのです。問われるのは人間性、AIを使いこなせる人間力です。

 

世界の常識・日本の常識

日本では、卒業が1年遅れた、2年遅れたということを気にするけれども、世界では当たり前なんですよ。
日本の大学1年生の平均年齢は18歳。では、世界の先進国の平均はご存知ですか。答えは22.3歳。日本は4歳も早いのです。3月に卒業して、4月の5日ぐらいには大学あるいは専門学校の入学式に出ている。海外では、そんなことできるわけがない、と捉えられます。

他の国では、高校を卒業してから2、3年世界を旅行してみたり、あるいは、インターンシップを経験したり、働いてみたり、ぼーっとしたりする中で、自分は何がしたいのかな、世界はどうなっていくのかな、ということを考えて、3,4年後に「あ、自分はこれをやりたかったんだ」というものが見つかって、大学や専門学校に入学する。あるいは40歳で課長になったのを機に2年間ぐらい勉強したい、と学び直しのために入学するという方もいます。こういうことが国際社会の中で言えば常識なんです。でも、日本では高校出たらすぐにいわゆる「ブランド大学」をめざして入って、それで何者になるというのでしょうか。

 

学歴社会から学習歴社会へ

学歴を競うのはもう終わりです。

サイボウズの青野慶久社長は、「学歴は一切問わないで学習歴を大事にする」、「学歴社会から学習歴社会にならないと日本はだめになる」、というのが持論です。ご自分も社長でありながら、学生です。どうして社長業と学生が両立できるのかと思われるかも知れませんが、今や東大も、ハーバード大学も、オンラインで授業を受けることができるんです。幅が広がってきました。留学しなくても、日本にいながらにしてどれだけでも勉強していける。本人の意志次第でどんどんスキルアップし、人生を深く考えることができるんです。

現代はそういう優れた時代です。NHK学園の生徒のみなさんもひしひしと感じていることだと思います。

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