史上初!ブラックホール撮影に成功 本間希樹先生 N学へ! その2
- 東京本校
2020.10.23
どんどん失敗しよう! 自分がハマれることを見つけよう!
10月23日(金)に行われた「N学特別講座」。史上初めてブラックホールの撮影に成功した、天文学者で国立天文台水沢VLBI(超長基線電波干渉計)観測所所長・教授の本間希樹(ほんま・まれき)さんのお話の続きです。
ブラックホールの画像を見せていただいた後にの本間先生からのクイズは、「ブラックホールってお菓子に例えるとドーナツでしょうか。それとも大福でしょうか?」という意外な内容…。
写真を見るとドーナツのように見えますが、実はお菓子にたとえると、形としては大福に近いのだそうです。真ん中のあんこがブラックホールだとすれば、周りの皮はまとわりついた光の衣です。
ブラックホールは、地域の町おこしにも大きく貢献しています。観測所のある水沢には、ブラックホールをテーマにしたオリジナルのお菓子や南部鉄瓶がたくさん売られているそうです。
南部鉄瓶は、ブラックホールをイメージして、蓋部分がオレンジにコーティングされているそうです。
ブラックホール研究の歴史は今から100年以上前にさかのぼります。まずアインシュタインやシュバルツシルトなどの科学者によって理論上ブラックホールの存在の可能性が示され、研究が進められてきました。そして昨年、ついに本間先生をはじめとする国際撮影チームがブラックホールを視覚的に証明したのです。
今回の撮影チームでは、世界中の研究者が集まりブラックホールの撮影を行いました。自らの経験した国際研究ならではの苦労も教えていただきました。
コミュニケーションは英語。インターネット会議は深夜。海外出張もしょっちゅうです。また、大人数のチームだと意見が合わないことがしばしば。でも意見が合わないことは決して悪いことではない、と本間さんは言います。
そして、このチームで頑張ってくれた日本人スタッフ(何万枚もの画像解析をしたメンバー、プログラムを書いた数理の専門家)を、一人一人顔写真とともに紹介してくれました。
ブラックホールが大好きで、一度ブラックホールを見てみたいという皆の強い希望が成功につながりました。ブラックホール撮影に初めて成功したというニュースは瞬く間に世界を駆け巡り、ニューヨークタイムスなどの世界中のメディアで大きく報道されました。
ブラックホールの撮影という人類の長年の夢、一大事業を成功させた本間先生。今後取り組みたいこととして「天の川の中心のブラックホールをぜひ見てみたいです。そして今度はブラックホールを動画で撮りたいです」と力強く抱負を語ってくれました。
最後には本間先生から若い人たちにメッセージが…。
「チームワークにとって大事なことは、皆が同じ目標を持ち、コミュニケーションをとること。研究も人生も失敗の連続だから、すべて失敗は前向きにとらえることが大事。恐れずに、どんどん失敗してほしい。そして、情熱を持って行動を起こしましょう!」
本間先生も、ブラックホールを見たいという情熱をずっと持ち続けてきたからこそ、そして宇宙が好きだったからこそ、今回の写真撮影の成功が得られたと言います。
「自分がハマれる好きなことをぜひ見つけてほしい。」
本間先生は熱く語ってくれました。
講演後の質問コーナーでは、一般の方、生徒から「ブラックホールに入って過去の時間に干渉することはできますか?」「ブラックホールが太陽は、地球を飲み込んでしまう可能性は?」など、質問な質問がされました。
終了後、生徒や一般の方からの感想をうかがいました。一部をご紹介します。
・ブラックホールを撮影するためVLBIという地球サイズの望遠鏡を造ったことに驚きました。
・ヘンテコなブラックホールの性質や正体が、不思議で面白かったです。国際協力ならではの苦労話も面白かった。ドーナツでなくていちご大福なのですね。
・世界の人たちと協力してひとつのことをやり切るのはすごいと思いました。何十年も同じことを研究していて、それだけ宇宙のことに夢中になれるなんて、私もそんなに夢中になることを見つけたいと思いました。
・チームでぶつかった後の意見は必ずよくなるということに深く納得しました。
・1枚の写真を撮るために200人、10年という時間や労力をかけることができる情熱がすばらしいと思いました。
・長い年月をかけて多くの人たちの努力の積み重ねによってブラックホールの写真が撮影され、また多くの国が国境を越えて協力をしたからこそ成功したプロジェクトだと知って感動しました。人とのつながりや、夢中になれることを持つことを大切にしたいとあらためて思いました。
・日本の水沢で日本人の方々が撮影と解析をされたというお話に、私たちも誇らしい気持ちでいっぱいになりました。ますます夢が膨らみました。
・ドーナツを食べたくなりました。
特別講座が終わった後も、「本間先生があこがれ」という宇宙やブラックホールに深い興味を持つ生徒たちが本間先生を取り囲んで、さまざまな質問を投げかけていました。
本間希樹先生、ご多忙の中、大変貴重なお話をいただき、ありがとうございました!ブラックホールの動画映像、ぜひ見てみたいです。
NHK学園高校では、これからも各界の第一線で活躍する方をお招きして、生徒だけでなく一般の方にも参加していただける特別講座を開催していきます。
講演する本間先生
EHTプロジェクトが撮影したM87銀河の中心にある巨大ブラックホール。
一般の方・生徒からたくさんの質問が寄せられました
本間先生、ありがとうございました!(どーもくんと本間先生)