ベストタイミングはいつ?通信制高校への転入時期

  • 通信制高校の転入・編入

2023.08.26

転入学の時期 学年別ケーススタディ

「今の学校が合わない。」「学校に行けない日が続いている。」
そんな中で、転入学を検討している保護者の方から、「転入学のタイミングはいつがいいでしょうか。」という質問をいただくことがあります。

お一人おひとりのご事情によって、最適な時期は異なりますが、学年や単位の修得状況によっておすすめできる時期・できない時期がありますので、ご説明したいと思います。

全日制の高校の場合、年度の終わりに1年間の学習状況を見て単位認定・進級が行われるのが通常です。年度途中では修得できている単位はないので、高校1年生の場合、修得単位0が通常です。

通信制高校の卒業の条件は3つ。
1. 高等学校への3年以上の修学
2. 74単位の単位修得
3. 卒業までに30時間の特別活動

もし、3年間で高校を終えたい場合は、今年度(転入学する年度)プラス2年で74単位を修得していくことになります。
今在籍している学校に今年度末まで在籍した場合と転入学をした場合で、どちらが修得できる単位が多くなるかを考えてみましょう。

 

もし、今年度、「定期テストを全く受けることができていない」「すでに出席日数が足りなくなってしまっている」など、年度末まで在籍しても修得できる単位が0、もしくは著しく少ないという場合には、早いタイミングでの転入学をおすすめします。
転入学が早ければ早いほど、転入学先での今年度の時間、卒業までの時間が長くなります。その分、74単位の修得もしやすいということです。
高1で転入学すれば、74単位を修得して、3年で高校を卒業することは決して難しくはありません。今の同級生と同じタイミングで卒業することが可能です。

万が一、年度の後半遅くなっての転入学となった場合には、今年度は多くの単位を修得するのは難しいかもしれません。3年での高校卒業ということを重要視するのであれば、転入学先として検討している学校で、①今年度履修できるのは何単位か、②1年間で履修できる単位は何単位か、という点を確認して、卒業の年までに74単位の修得が可能かを必ず確認してください。
1年間で履修可能な単位数は35単位前後の学校が多いです。NHK学園では39単位までの履修を認めています。しかし、1年生の初めから在籍している生徒が3年間同じペースで単位修得するなら1年間で25単位前後(74÷3)のところを、その1.5倍以上の単位分履修することになるのです。全日制での授業への出席や課題の提出などの量と比較すれば、少ない量ではありますが、ご本人のやる気や計画性が伴わないと修得することは難しい量です。ご自分の心身の状況も踏まえて検討してください。

 

単位の修得や出席日数についての詳細は、過去のブログ記事でお伝えしています。
通信制高校への転入・編入を考えたら確認したいこと

 

 

 

高校1年生の時に修得した単位は引き継ぐことが可能です。商業高校や工業高校の単位も卒業に必要な74単位として認められます。
全日制高校も学習指導要領により卒業に必要と規定されているのは74単位で通信制高校と変わりませんが、独自に卒業に必要な単位数を設定している学校も多いです。75%以上の学校が、卒業に必要な単位数として75単位以上の設定をしています。85~94単位に設定している学校が最も多く、95単位以上の学校も15%以上というのが現状です。

<参考>
文部科学省「平成27年度公立高等学校における教育課程の編成・実施状況調査の結果について」
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/__icsFiles/afieldfile/2019/02/12/1413569_002_1.pdf

もし、卒業に必要な単位が90単位の学校でしたら、1年間で30単位前後修得していくように計画されているということです。ご自分の修得済み単位が何単位か、どの科目の単位を修得したのかは成績表などを見ると確認できます。もし、成績表に記載がないなど確認できるものが手元にない場合は、在籍している学校に問い合わせてください。
74単位から修得済み単位を引いた数が卒業までに必要な単位数ということになります。
もし30単位なら、74-30=44単位ということです。

もし、今年度「定期テストを全く受けることができていない」「すでに出席日数が足りなくなってしまっている」など、年度末まで在籍しても修得できる単位が0、もしくは著しく少ないという場合には、早いタイミングでの転入学をおすすめします。
通信制高校で1年間で履修できる単位は35単位前後が一般的です。今の学校に2年間在籍して30単位しか修得できなかった場合は、あと44単位の修得が必要ですが、1年間で44単位を履修することは難しく、3年で高校を卒業することができないということになります。

逆に、今年度ある程度単位の修得が見込めるのであれば、今年度末まで今の学校に在籍して、2年間で修得した単位数を持って新年度から転入学するのも一案です。

条件としてはこれまで述べた通りですが、条件だけではなく、ご本人の気持ちも大切にすることも重要です。「文化祭までは今の学校にいたい」というお子さんのご希望をうかがったこともあります。高校2年生は、在籍した期間も、残された高校生の期間もともにある程度あり、最も判断の難しい時期ではありますが、ご本人が納得できるかたちでの転入学を実現していただきたいと思います。

 

 

 

高3での転入学は、年度当初に入学するか、在籍の学校での卒業が難しくなった時点での判断かいずれかが多いです。
高校3年生での転入学の場合は、修得済みの単位数によって大きく変わってきます。
卒業に必要な74単位に対して、あと何単位必要か。それがこれからの転入学で今年度修得ができる数かによって、今年度の卒業が可能か、もう1年必要になるかが変わってきます。
もし、もう1年必要になるとしても、通信制高校への転入学のメリットは大きいです。特に、大学への進学など次の目標が決まっている場合は、残った単位修得のための時間以外をすべて次の目標に向けた準備に使うことができるからです。

高校3年生の後半になって転入学を考える際には、進路のことも考慮することになるかと思います。特に進学を考えている場合には、推薦入試や総合型選抜、共通テストなどそれぞれの受付時期によって、前籍校で対応するか、転入学先で対応するかが変わります。出願期間と転入学の時期によって変わってくるということです。進学のための動きは多くが9月以降となるため、こうした点の煩雑さを考えると、夏休み前の転入学がおすすめです。
もし、やむを得ず9月に転入学をするという場合には、通常は学校を通じて行う共通テストの出願を前籍校ですることになるのか、転入学先ですることになるのか、学校にきちんと確認をして、必要な手続きについては依頼しておく必要があります。

卒業後も見据えて、いい転入学になることを祈ります。

 

お読みいただきましたように、学年に応じて、転入学の時期の判断の基準が変化していきます。一方で、ご本人の気持ちが伴わないと、よく調べてベストな選択だと思った選択も、予定していたように運ばず「絵に描いた餅」になってしまう可能性もあります。条件や希望をしっかりと確認しながら、気持ちの面も踏まえて、総合的にベストな判断ができるといいですね。