通信制高校への転入・編入を考えたら確認したいこと

  • 通信制高校の転入・編入

2023.08.16

通信制高校への転入学や編入学を考えるときに、必ず知っておいていただきたいことがあります。全日制高校に通学していた保護者の方は想像しにくい部分も多く、よくご質問をいただく点があります。一つひとつ確認していきましょう。

 

高等学校に在籍した経験のある生徒の入学形態は2つ。「転入学」と「編入学」です。
そもそも、「この2つの違いは何?」というご質問や、取り違えていらっしゃる方も大変多いので、まず最初に確認したいと思います。

<転入学>
いわゆる「転校する」ことです。現在在籍している高校(全日制、定時制、通信制)に在籍したまま転入学の出願手続きをし、転入学の前日までは在籍を続けて、1日の間も置かずに新しい学校に籍を移すことです。

<編入学>
編入学は、これまでに高校(全日制、定時制、通信制)に在籍した経験があるけれども、すでに退学をしている生徒のための入学形態です。転入学との違いは、前の高校と新しい高校の在籍期間に間がある、という点です。

転入学・編入学のいずれの場合も、前に籍を置いていた高校ですでに修得している単位は、新しい高校に引き継ぐことができます。工業高校や商業高校などの特別な科目についても認められます。
「転入学」も「編入学」も単位を引き継ぐことができる点は同じ。「今の学校にこれ以上いることは耐えられないので、すぐにでも退学したいんです。」-そんなご相談を受けることもあります。
でも、待ってください!

 

単位を引き継ぐことができる点では同じでも、転入学と編入学では入学できる時期に違いがあります。「転入学」のほうが、入学時期が比較的フレクシブルなのが一般的です。
実際に、NHK学園でも「転入学」は例年12月10日ごろまで出願を受け付けていますが、「編入学」は前期入学が4月30日まで、後期入学は8月1日~9月30日と時期を区切っての出願受付です。
退学してしまうと、その時期によっては次の学校への編入学まで期間が空いてしまうこともあります。高校卒業の条件の一つは、高校での3年間以上の修学。退学してから次の学校に入学するまでの期間は、この3年間にカウントすることはできませんから、特に、「できるだけ早く高校を卒業したい」「今の高校の友だちと同じ時期に高校を卒業したい」と考えている方は、慌てて退学をしないようにしてください。

 

3年間という修学期間について、もう一つよく誤解されていることがあります。
保護者の方からご相談をいただいて、「休学期間は3年間にカウントされないのですよね?」とご質問があったので、「そうです」とお答えし、よくよく話を聞いてみると、学校はなかなか行けずに、何か月もお休みが続いているけれども、正式に「休学届」を出したわけではないとのこと。
この場合は、あくまで「欠席」であって、「休学」ではありません!
「修学期間」に「休学した期間」は含まれないのですが、この「休学した期間(休学期間)」とは、学校に休学届を出して、正式に休学をした期間のこと。「毎日行こうとは思っているけれども、朝になると気持ちがついていかなくて学校をお休みしてしまっている」という場合は、「休学」にはあたりません。
たとえ登校できていなくても、修学期間にはカウントされるので、ここにも退学をしないメリットがあります。
もちろん、転入学後に、卒業に必要な単位が修得できなければ、修学期間3年間を満たしていても卒業はできないのですが、最短での卒業を目指す場合には、大切です。

 

ここで、高等学校卒業の要件を確認しておきましょう。
高校卒業の要件は、「学校教育法」「学習指導要領」によって定められています。

1.3年以上の修学
学校教育法第56条
高等学校の修業年限は、全日制の課程については、3年とし、定時制の課程及び通信制の課程については、3年以上とする。

2.74単位以上の修得
高等学校学習指導要領第4款
卒業までに修得させる単位数は、74単位以上とする。

3.特別活動30時間
高等学校学習指導要領第2款
特別活動については、各々の生徒の卒業までに30単位時間以上指導する。

修学(修業)期間については、前に在籍していた学校も含めトータルで3年間ですので、転入学・編入学の場合には、これまでの修学期間を差し引いて考えることができます。
また、卒業に必要な単位は74単位ですが、多くの通信制高校は普通科ですので、その場合は、普通科の必履修科目の単位を修得することも必要です。単位の修得数を最も少なく抑えようとするならば、必履修科目を含む74単位を修得が必要ということになります。
単位についても修学期間同様に、前に在籍していた学校での修得単位も含めて74単位修得できていればいいのです。全日制・定時制・通信制の単位はお互いに引き継ぐことが可能です。例えば、すでに前籍の全日制高校で50単位修得していれば、転校先の通信制高校では74-50=24単位修得すればいいということになります。
特別活動については、自宅での学習が中心となる通信制高校の生徒のために、人と関わり社会性を身につけることを目的として、定められているものです。こちらも、前籍校での活動が考慮されます。

 

「単位制」という制度も、少々わかりにくいようです。
確かに、全日制の高校に通っていると、曜日ごとに決まった時間割に沿って授業を受けて、学年が終了すると、定期試験や提出物の内容によって成績がつき、年度の終わりには単位修得、という流れなので、「どの科目が何単位」なんて考えることもなく卒業を迎えたという保護者の方も多いかもしれません。

前期・後期と1年が2期に分かれていて、それぞれで履修する科目も異なり、単位修得していく、という場合を別にしますと、多くの学校が、その年度履修した科目について、年間の学習活動(通信制の場合、レポート・スクーリング・定期試験など。全日制の場合、出席日数・提出物・定期試験など。)を総合的に判断して、年度の終わりに単位の修得が確定するのが一般的です。
つまり、年度の学習を完了しないと単位が修得できないため、転校の際、年度の最後でなければ単位を引き継ぐこともできません。そうしたことも踏まえて、転入学の時期を考える必要があるということです。

 

 

転入学を考えるきっかけとして、現在通っている学校で欠席が続いてしまって出席日数が足りなくなりそうだから、というお話をよくうかがいます。
全日制の高校において、「年間の出席日数が何日必要か」は、法律で定められているものではありません。学校ごとで決められています。

文部科学省の調査によると、公立の普通科全日制高校の場合、年間の総授業日数は、190日~199日が59.8%、200日~209日が25.7%と、総授業数190日~209日に85%以上の高校が集中しています。

※参照元:文部科学省
平成27年度(公立高等学校)調査結果
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/__icsFiles/afieldfile/2019/02/12/1413569_002_1.pdf

多くの高校で、3分の2以上の出席を進級の条件としていることを踏まえると、出席が必要な日数・欠席できる日数はそれぞれ以下のようになります。
190日の場合  最低出席日数(2/3)は127日 欠席できる日数は63日
209日の場合  最低出席日数(2/3)は140日 欠席できる日数は69日

ただし、これも、全ての高校に対して定められているものではなく、学校によって異なりますので、注意が必要です。中には、5分の4以上の出席が必要(欠席できるのは1/5まで)という学校もありますので、総授業数や進級の条件については、在籍校においてどのような規定があるか確認してみてください。

 

<運営者情報>

NHK学園高等学校(広域通信制・単位制・普通科)
〒186-8001 東京都国立市富士見台2-36-2
電話:0120-451-424
詳しくはこちら:https://www.n-gaku.jp/sch/