修学奨励金を利用して高校卒業資格を取得!
- 通信制高校の学費
2024.08.28
スタンダードコース卒業生 葛西 法子さん

2024年3月にスタンダードコースを卒業した葛西法子さんは働きながら、そして子育てをしながら、「青森県高等学校定時制課程及び通信制過程修学奨励金」を利用してNHK学園高等学校青森北斗協力校で学びました。
この制度は働きながら高等学校の定時制課程及び通信制過程に在学する生徒に対し、その修学を促進する目的で、無利子で貸与されるものです。青森県の貸与月額は18,000円(14,000円+交通費相当額の上限)で、卒業までの4年以内の期間貸与されます。卒業した場合には、貸与を受けた全額について返還を免除されるという制度です。
葛西さんは3年間の修学期間で卒業。青森県教育委員会より修学奨励金の返還債務を全額免除されることになりました。
葛西さんに、仕事と子育てをしながらのNHK学園での3年間についてお話を伺いました。
NHK学園への入学を決めたきっかけ
ーー葛西さんは、中学を卒業後、就職、出産を経験されてからのNHK学園への入学でした。改めて高校への進学を決意されたのには、なにかきっかけがあったのですか。
葛西さん:高校進学の必要性を感じていなかったので、中学卒業後すぐに飲食業に就きました。その後、転職した先で、パソコンの資格取得サポートや職業訓練の講師、社会人マナー講座の講師などの仕事をしていました。そこで、高校卒業資格がないことを同僚から指摘され、そのことを私を採用してくれた上司がとても悔しがってくれたのです。その姿を見て、高校卒業の資格をとることを決めました。
ーーお子さんの存在も大きかったのではではないですか。
葛西さん:はい。こどもが大きくなった時に自信を持って仕事をしていたいということも理由の一つです。
ーーNHK学園を選ばれたのはどういうところが決め手だったのですか。
葛西さん:働きながらなので、集中スクーリングがあるところが自分には合っていると思い入学を決めました。実際は通年のスクーリングへの出席で卒業までを過ごしました。
ーー利用された青森県の修学奨励金の制度についてはどこで知ったのですか。
葛西さん:学校からのお知らせで知ったという記憶があります。その後、ネットで調べてみたところ、自分は該当するかもと思い、ひとまず申込みをしてみたという感じでした。
――どのような手続きが必要だったのでしょうか。
葛西さん:手続きとしては書類を少し準備して送付したところ、後に承認のお手紙が来た、というような流れで、割と簡易な申込みだった印象です。その後も何かあれば学校を通じての連絡でした。複雑だったり、お堅い制度という感じではなかったためか申込みのハードルは高くなかったです。
ーー修学奨励金制度を利用して良かった点はどのようなことですか。
葛西さん:経済的な面で助かることはもちろんですが、「卒業したら返済不要」ということがあったので、さらに「卒業しないと!」というモチベーションにつながりました。このことが、意外と一番良かったことだったかもしれません。
高校生活について
ーー仕事と子育てを両立しながらの忙しい毎日のなかで、学習はどのように進めていましたか。
葛西さん:仕事が終わり、帰宅してから少しずつ進めていました。また、仕事の休憩時間を使って学習を進めたこともありました。スクーリングへの出席の時は家族のサポートもとてもありがたかったです。
自宅で勉強をしていると、子どもが真似をしてとなりで勉強するようになり、良い影響にもなった気がします。
ーースクーリングなどで、年齢の違う同級生とはどのような関わりがありましたか。
葛西さん:体育の授業など一緒に実技をするのですが、和気あいあいとした雰囲気でした。学習会などにも参加していたので、そこでの交流も楽しみました。
ーー高校生活で思い出に残っていることはありますか。
葛西さん:1、2年次の担任の先生から、卒業式で在校生代表として送辞を頼まれました。日ごろから担任の先生とは気軽に相談できる関係が築けていたので、人前にでるのが苦手ではない自分に依頼があったのだと思います。その経験があったこともあり、自分の卒業式で答辞を読ませていただいたことは、とてもよい思い出になりました。
現在、そしてこれから
ーー現在は会社を経営されているそうですね。
葛西さん:子どもがいますので、自宅でできる仕事をしたいと思い、それまでの経験を活かし、オンラインアシスタント(在宅秘書)やパソコン教室の講師などの仕事をする会社を立ち上げました。現在は5~6社と契約をしています。
ーー高校卒業資格の取得という一つの目標を達成されましたが、今後はどのようにしていきたいと考えていらっしゃいますか。
葛西さん:子育てと会社経営の両立と、これからもずっと何かを学び続けていきたいと思っています。
ーー何ごとにも明るく邁進する葛西さん。ずっと学び続けたいという姿勢が素敵です!お話を聞かせていただき、ありがとうございました。
定時制課程及び通信制課程修学奨励資金
「定時制課程及び通信制課程修学奨励資金」について初めて知ったという方も多いのではないでしょうか。ここで「定時制課程及び通信制課程修学奨励資金」について詳しく説明しましょう。
「定時制課程及び通信制課程修学奨励金」は名前の通り定時制もしくは通信制の高校に通う生徒を対象とした修学奨励資金の制度です。定時制もしくは通信制の課程を学んでいる生徒で、家庭が経済的に困難なことから、収入を得るために自らも働いている生徒が対象になります。
「定時制課程及び通信制課程修学奨励金」は各自治体が運営しています。自治体毎に違いもありますが、実施している多くの自治体が貸付額を月14,000円と設定しています。栃木県は月額15,000円。青森県では月額14,000円に加えて、公共交通機関を使って通学する際にかかる通学費用に応じた上乗せがあり、上限が18,000円と設定されています。交通費も通学が遠方になると負担が大きくなるので、交通費分もカバーされているのは、ありがたいですね。
全ての都道府県に同様の制度があるわけではなく、実施していない都道府県もあります。例えば、東京都の場合は、「定時制課程及び通信制課程修学奨励資金」の制度はありませんが、代わりに東京都私学財団などの奨学金を利用することが可能です。
お住まいの自治体で実施しているかどうかは、「定時制課程及び通信制課程修学奨励資金 都道府県名」でインターネット検索してみるといいでしょう。もし、お住まいの自治体で同様の制度がなかったとしても、他の奨学金制度を設けている場合もありますので、学費について不安がある方は、各自治体のホームページで奨学金制度について調べてみることをおすすめします。
国の実施する「高等学校等修学支援金」と併用することで、少しでも学費の負担を減らせるといいですね。