通信制高校から通信制高校への転入学で あきらめかけていた大学進学を実現

  • 通信制高校の転入・編入

2024.03.23

スタンダードコース 有田 みささん

NHK学園のスタンダードコースに3年次から転入学した有田みささん。有田さんにとってはNHK学園が3校目の高校です。県立の高校からNHK学園とは別の通信制高校へ転校、2度目の転校でNHK学園に入学した有田さんに、通信制高校について、そして高校選びについて聞きました。

――中学卒業後、最初は県立の高校へ進学されたと聞きました。
有田さん:はい。中学校時代不登校だったため、内申点がつかず、入学できる県立高校に進みました。その高校は、勉強しないのが当たり前、タバコを吸うのが当たり前、という学校でした。私には、養護施設や乳児院のような、事情があって家族と生活ができない子どもたちを預かる施設で、保育士として働きたいという夢があります。そのために、大学に進学して、保育士の資格を取りたいと希望していたのですが、担任の先生に自分の志望を話すと、「保育士になるなら専門学校で十分」「4年間大学に行く間に、保育士としての経験が遅れてしまう」と取り合ってくれませんでした。

――進学のアドバイスは期待できそうにない状況ですね。
有田さん:担任の先生はやさしかったのですが、学校全体が進学という雰囲気が希薄で、その雰囲気に飲まれて、慣れてしまうことが怖くてたまりませんでした。中学生のときの私は高校選びを軽く考えていたと、高校生になってから気がついたのです。
1年生の後半には友人との人間関係で苦しみ、涙が止まらなくなり、適応障害の診断を受けました。そこで、2年生の夏休みが終わる前ぐらいに、通信制高校へ転校をしました。

 

 

――そのときは通信制高校の中で転校先を検討していたのですか。
有田さん:入学した通信制高校と、NHK学園の2校が候補でした。結局、最初に相談に行った学校へ入学したのですが、雑居ビルの一室で、営業担当者が契約を迫るような雰囲気で、母も私も圧倒されて申し込んでしまった感じです。「指定校推薦も総合型選抜もあるし、上智・GMARCHへの進学や英検準1級の取得もできるよ。」と入学前はいい話ばかり聞かされました。

――実際入学してみて、いかがでしたか。
有田さん:授業があまりに簡単な内容で唖然としました。「課題の量は少ないから、心配しなくていい」と言われていたのに、実際には相当な量でしたし、単位認定もすごく厳しかったです。定期試験で、かなり踏み込んだ難しい問題が出たのですが、点数が取れなかった場合は、教科書を丸々写すようなとても提出期限に見合わない量の追加課題が出されたりもしました。

――先生はどんな感じでしたか。担任の先生は決まっているのでしょうか。
有田さん:担任は決まっています。20代後半ぐらいの若い先生ばかりで、生徒に対して「教える立場」というより「遊び相手」という感じです。人間関係に悩んだことのない人は「フレンドリーな先生だな」と感じるのかもしれません。
一番驚いたのは、先生同士のいじめがあったことです。真面目にやっている先生がターゲットにされていて、スクーリングの際にほかの先生たちが見に来て笑ったりする光景を目にしました。

――それは、生徒のみなさんも悲しくなりますね。
有田さん:ほかにも、高等学校等就学支援金の連絡など重要な連絡が忘れられたこともありました。やり取りがすべてslack(通信制高校の導入事例も多いチームコミュニケーションツール)を使うので、母が非常に苦労していました。

――通信制高校でも週5日通学というところもたくさんあります。どんな登校頻度でしたか。
有田さん:週1日、週3日、週5日のコースがある学校でしたが、私は週3日を選びました。入学前は、いつでもコースの変更ができるという話でしたが、入学後に、できるだけ通わないコースに変更したいと担任に相談しても、「変更する必要ある?」と言って認めてはもらえませんでした。

――もっと早くに転校しようとは考えなかったのですか。
有田さん:転校したいと思いましたけど、「他の学校に行くなら単位を与えない」と言われて、怖くて転校の決断ができずにいました。

 

 

――レポートの提出やスクーリングへの出席、試験の結果で、単位修得できそうか、修得が難しそうかはわからないのですか。
有田さん:NHK学園の学習サイトのように、自分で確認できるようなしくみはありません。取り返しのつかない状況になったところで、通知される感じです。
最終的には、単位が取れるかもわからず、学校の諸々の対応に母の不信感が高まり、「どうなっても転校しよう」と転校を決めました。

――NHK学園に転校するときは、他の学校と比較検討しましたか。
有田さん:いいえ。NHK学園は前も転校先候補でしたし、歴史がある学校なので、前の通信制のようなひどいことはないだろうと判断しました。

 

 

――NHK学園に入学して、どうでしたか。
有田さん:最初のスクーリングのときに担任の先生に、志望する武蔵野大学の総合型選抜に挑戦できるか、相談したんです。最初の学校でも2番目の学校でもきちんとした進路指導もなく、そのうち進学以前の問題に追われて、進路どころではなくなってしまっていました。半ばあきらめかけていましたが、「1」投げかけて、「3」返してくれたら…と意を決して話をしたんです。そうしたら、NHK学園の担任の先生は「100」返してくれました。先生として、一人の人間として親身になって答えてくれて、心の底から「大学に入れてあげたい」と思ってくれていることが伝わってきました。先生と話をしていて、「こんなに私のことを考えてくれるなら」と私自身にも火が付いたんです。

――そこからは、どのように準備をしたのですか。
有田さん:担任の先生と二人三脚です。先生と話をしていて、併願先として考えていた大学への併願ができないことがわかりました。そうしたことも、NHK学園に入学するまで、だれも教えてくれなかったんです。武蔵野大学になんとか合格するために、9月の出願ぎりぎりまでエントリーシートや小論文の添削や、保育に関わるニュースについて考えをまとめる練習などを指導していただきました。
小論文の書き方も、自分の強みは何かもわかっていなかった私に、先生が一から指導してくれて、「あなたの強みはこれだよ」って教えてくれたことで、まとまらなかった考えがはっきりしてきたんです。

 

 

――そのおかげで、みごと合格を勝ち取ることができたのですね!
有田さん:実は、先生と出願の準備をする約束をしていた7月から8月に、私が精神的に落ち込んでいて、全く準備に手が付けられずにいたんです。先生も心配してメッセージを送ってくれたのに、答えることもできずにいて、ギリギリの時期にようやく連絡をしました。でも、先生はひと言も責めたりしないで、「心配でした。次はやろうね。」って返してくれて、私はその先生のことばに喝を入れられたんです。初めて頼れる大人に出会えたと思いました。
この合格はNHK学園で、担任の先生と出会ったからこそ手にすることができた合格です。

 

 

有田さんと担任の吉田先生 卒業式後のホームルームで

有田さんと担任の吉田先生 卒業式後のホームルームで

 

有田さん、つらかった経験も含めてお話してくれてありがとうございました。この春、卒業を迎えた有田さん、大学ではご自分の夢に向かって学びを深めて、すてきな保育士さんになってくださいね。応援しています。