卒業生が教育実習を行いました!

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2025.11.12

地歴公民科実習生 加藤結衣さん(東京本校 登校コース卒業)

地歴公民科実習生 加藤結衣さん(東京本校 登校コース卒業)

指導教員の石井浩二先生と談話中

指導教員の石井浩二先生と談話中

東京本校 登校コース卒業生で明治学院大学4年生の加藤結衣さん(地歴公民実習生)が東京本校で教育実習を行いました。教育実習期間の最終日目前にお話をうかがいました。

 

ーー「先生になりたい」と思ったきっかけを教えてください。

実は高校生の頃は、先生になろうという気持ちはまったくありませんでした。むしろ、国際協力に興味があって、困っている子どもたちを助けたいという思いのほうが強かったんです。
大学で学んでいくうちに、「教育」というものが、困っている人に寄り添える一番身近な存在だと気づきました。特に先生という立場は、子どもたちにとって本当に近い距離で寄り添える存在だなと感じて。
そのとき、「自分がやりたいことって、先生という仕事とすごくマッチしているな」と思えて、先生を目指すことに決めました。

 

ーーNHK学園高等学校の卒業生とのことですが、当時の担任の先生はどなたでしたか?

担任は山口真理子先生でした。とても親身になってくださる先生で、いろいろと支えていただきました。
当時は部活動にも所属していて、顧問の先生は小椋光彦先生でした。部活を通して多くのことを学ばせてもらいました。
また、体育科の陸上部の先生や、英語科の佐藤佑哉先生にも大変お世話になりました。先生方との関わりが、今の自分の原点になっていると感じています。

 

ーー生徒だった当時のことを少し振り返っていただきたいのですが、担任の先生とはどんな関係でしたか?相談しやすかったですか?

山口先生は、いつも気にかけてくださっていましたが、基本的には“いい意味での放任主義”でした。
「自分のやりたいことをやっていいよ」と、自由にさせてくれる一方で、しっかり応援してくれる先生でした。
自分の興味や関心を理解してくださっていて、たとえば海外に興味があることを知っていたので、「こういう留学制度があるよ」と教えてくれたり、受験勉強でわからない科目があったときには「教科の先生につなげるよ」と声をかけてくださったりしました。
そういう距離感が、自分にはすごく合っていて、安心して相談できる存在でした。

 

ーーかつては生徒として学園生活を送られ、今回は教育実習生として過ごされていますが、違う目線でNHK学園を見て、何か違いを感じましたか?

生徒の頃は、同級生にいろんなタイプの子がいるなぁ、くらいにしか思っていなくて、あまり深く考えていなかったと思います。
でも、教育実習生として先生の立場で関わるようになってからは、そういう子たちがまず高校に通って、レポートを書いて、学習して、そして卒業後の進路につなげていく。その一連の流れを支えるのが先生の役割なんだと、改めて気づかされました。
学校生活の中で、困っている子たちに対してどんな支援ができるかという“ニーズ”を意識するようになって、たとえば認知行動療法的なテクニックを使ったアクティビティや、ちょっとした声かけにも意味があることを先生方から聞いて、すごく勉強になりました。
子どもの成長を支えるために、先生がどれだけ細やかに配慮しているかを知って、教育の奥深さを実感しています。

 

 

ーー生徒と話してみて、「当時の自分とは考え方が違うな」と感じた場面はありましたか?また、校舎の変化なども含めて、何か印象的だったことはありますか?

まず校舎についてですが、図書館や進路相談室などが以前と変わっていて、びっくりしました。設備が整っていて、より使いやすくなっている印象を受けました。
生徒との関わりの中では、不登校や通信制の学び方が浸透したことで、生徒の心持ちが以前よりもポジティブになっていると感じました。もちろん個人差はありますが、全体的に前向きな姿勢の子が多い印象です。
それが「変わったな」と思った点でもあり、自分が生徒だった頃には気づけなかっただけかもしれませんが、今の生徒たちの考え方や雰囲気には違いを感じました。
教育実習を通して、生徒の多様な背景や価値観に触れることで、改めて教育の奥深さを実感しています。

 

生徒と楽しそうに会話をしている加藤さん

生徒と楽しそうに会話をしている加藤さん

ーー生徒と接してみて、嬉しかった出来事や「先生を続けていきたい」と思えるようなエピソードがあれば教えてください。

地理の教壇実習をした際に、たまたま自分の大学での研究分野と授業内容が少し重なっていたこともあり、教科書の内容に加えて「大学ではこういう勉強をしています」と話すことができました。
「工業の発展」という分野だったので、日本の技術の進歩について紹介しつつ、海外の現状についても、自分が実際に訪れた場所の写真を見せながら説明したところ、生徒がとても関心を持ってくれました。
授業後には「ここってどうなってるんですか?」と質問してくれたり、「大学の話をもっと聞かせてください」と声をかけてくれた生徒もいて、自分の経験が生徒の興味・関心を引き出すきっかけになったことが嬉しかったです。
通信制高校では、学校に通うこと自体が精一杯で、進路についてはまだ先のことと考えている生徒も多い印象がある中で、自分の授業が少しでもその先につながるきっかけになったのなら、本当に良かったなと感じました。
また、他の先生から聞いた話ですが、私は一般受験で大学に合格したのですが、それを知ったある生徒が「通信制高校でも一般受験で合格した人がいるんだ」と励みになったと聞いて、それもとても嬉しかったです。
自分の経験が誰かの希望や目標につながることがあるんだと実感できて、「先生を続けていきたい」と思える瞬間でした。

 

ーー目標としている先生像があれば教えてください。

正直に言うと、特定の「こうなりたい先生像」というのは、今のところ特にありません。
ただ、これまでお世話になった先生方を思い返すと、どの生徒にも柔軟に対応されていたのが本当にすごいなと感じていて、そういう姿勢には憧れがあります。
時には先生としてしっかり指導し、別の場面ではフレンドリーに接する――そんなふうに、状況に応じて関わり方を変えられる先生って素敵だなと思います。
私自身も、あまり型に縛られずに、生徒一人ひとりに合わせた関わり方ができるような先生になりたいです。

 

ーー教育実習中に先生になることに不安を感じたことはありましたか?

NHK学園は自分が高校時代を過ごした場所でもあるので、学園自体に違和感を覚えることはありませんでした。むしろ、安心感がありました。
ただ、現在は公立の中学校でもアルバイトをしていて、そちらでは施設の雰囲気や先生方の関わり方、学校の制度など、NHK学園とはかなり違いを感じる場面があります。
NHK学園で感じていた「柔軟性」が、公立ではあまり感じられないこともあり、将来は公立の先生になることを目指している中で、「自分が生徒に寄り添いたいという思い」と「実際に何ができるのか」という点に不安を感じることがあります。
まさに、私自身に“柔軟性”が求められているのだなと感じています。生徒一人ひとりに合わせた対応をするには、もっと経験を積んで、視野を広げていく必要があると実感しています。

 

ーー今後の活躍を期待しています。本日はありがとうございました。

 

加藤さんが生徒たちに向ける真剣な眼差しは、非常に印象的でした。NHK学園を卒業後、多くの経験を積み重ねたその姿は、生徒たちにとって大きな刺激となったようです。実習期間で得た学びを活かし、夢に向かって力強く歩んでいってくれることを心から願っています。