全国高等学校通信制教育研究会で研究発表
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生徒が取り組むレポートの細分化の効果について発表しました
6月15日(木)、16日(金)に全国の公立・私立の通信制高校の集まりである「全国高等学校通信制教育研究会」が京都で開催されました。NHK学園も放送教育研究部会において発表を行いました。放送教育研究部会は、今後の通信制高校の教育に生かすため、「NHK高校講座」をはじめとした映像を利用した教育、広くは、オンラインを利用した教育についての研究発表を行う場です。
NHK高校講座における放送教育の研究―「スモールステップ法」導入による学習効果―
発表は、NHK学園の学習システムの開発や管理にも携わっている情報科の鈴木祐教諭が担当しました。
NHK学園では、2022年度より、新カリキュラムに合わせて「NHK高校講座」の視聴をオリジナルの学習専用サイト上で行う形式に変更しました。この変更に合わせて「NHK高校講座」の視聴状況が把握できるようになったほか、生徒が理解の確認のために取り組むレポートを1回分の放送内容に合わせて細分化する、という変更を行いました。
この「スモールステップ法」の効果を検証するため、新旧どちらのレポートにも取り組んだ経験のある生徒へのアンケートを実施し、今回はその結果も踏まえて発表を行いました。
アンケートによれば、細分化されたレポートのほうが取り組みやすいと感じた生徒は6割以上。問題の量が少ないことで気軽に取り組むことができるようです。一方、まとめて取り組みたいという意見や全体が把握しにくいという意見もありました。
英語と数学について各レポート回の成績を見てみると、ABCDの評価のうち、A、D評価が減少し、B、C評価が増加。数学は、苦手な生徒が多い二次方程式を扱う回でこの傾向が顕著でした。英語は、放送内容に付随して教科書にない英作文の問題が出されるなど難易度が増したことが原因と考えられます。生徒の苦手な部分が把握しやすくなったことは、生徒自身にとっても指導する教員にとっても大きなメリットです。
発表を行った鈴木教諭からは「スモールステップ法」について一定のメリットが認められたものの、まだ結論には至っておらず、引き続き「適正な学習量」の検討、学習サイト上での表示のしかたについて工夫が必要、という話がありました。
「学習量の最適化」は学習効果を最大限引き出すための大きなテーマです。また、自らモチベーションを高く保つことができる大人が対象の場合は異なるため、対象に合わせた研究がまだまだ必要です。今回の高校生を対象とした私たちの研究発表が多くの教員の皆さんの参考になればうれしいです。
新たな課題も把握することができた今回の研究をもとに、より高い学習効果と使いやすさを目指して、NHK学園の教員チームは研究を重ねていきます。