NHK学園に転校して自分と向き合う時間が増えたことで、自分を知り、好きなことに没頭。大好きな刺繍を続けていきたい

  • 通信制高校の転入・編入

2024.05.29

登校コース 関谷 春香さん

登校コース3年次の関谷春香さんは、「AJCクリエイターズコンテスト 2024」の刺繍部門で入賞しました。AJCとは「アーツジャパンクラフト」の略称です。個性的な表現を生み出す手仕事を評価するため、刺繍のほかにも、アートジュエリー、ファブリックアート、ニッティングアートなどさまざまな部門の作品を集めたコンテストを開催しています。
関谷さんにお話を聞きました。

 

――このたびは「AJCクリエイターズコンテスト」入賞おめでとうございます。刺繍はいつから始めたのですか。
関谷さん:手芸はもともと好きで、ビーズとか羊毛フェルトなどはやったことがありました。小学6年生のときに摂食障害で体調を崩して入院したことがあり、退屈しのぎにと母が家に余っていた刺繍キットを持ってきたことがきっかけです。

――やってみたら“ハマった”のですね。
関谷さん:はい。夢中になってやっていました。その後、中学1年生のときは学校に行けなかった時間に、クロスステッチ*をやっていました。2年生からは登校できるようになりましたが、学校生活で精いっぱいだったり、3年生になると高校受験のための勉強で忙しかったので、その間は刺繍をする時間がありませんでした。
*クロスステッチ…糸を交差させながら刺していく簡単な刺繍技法。ワンポイントで手軽に楽しめるものから、布全体を刺す風景画まで、多様な表現ができる。

 

――高校は、最初はNHK学園とは別の高校に入学したのですね。
関谷さん:はい。小学6年生のときに摂食障害で入院したと話しましたが、高校に入学すると、環境の変化などから再び食べるのが大変になり、学校に行くのも難しくなりました。体調が良くなりきっていないところに、新しい学校での緊張や、新しい人と話すことでの疲れがたまって摂食障害につながったようです。そこで、NHK学園に転校しました。

――つらい思いをしましたね。NHK学園に入ってみて、いかがでしたか。
関谷さん:人見知りや場所見知りがあるのと、感覚過敏で、音とかにおいとか、締め付ける服装などもだめなことがわかりました。自分と向き合う時間が増えて、自分がどういう人間かを知ることができました。時間と心に余裕ができたことで、自分の好きなことにじっくり取り組むことができて、本当に良かったです。

――今はどんな時間に刺繍をしているのですか。
関谷さん:高校1年生のときから、2週間に1回刺繍のカルチャースクールに通っています。1回2時間で、先生が教えてくれています。あとは、毎日、時間があるだけ刺繍しています。

――登校して学校で過ごさなければならない時間が全日制の高校と比べると少ないので、その分自分の好きなことに多くの時間を費やせるのがいいですよね。刺繍のどんなところが好きですか。
関谷さん:集中できるところです。デザインしたものが糸で形になるのが好きですね。それと、作品が完成した後に達成感があるのがうれしいです。私は2歳から7歳までイギリスに住んでいました。現地の学校にも通っていたので、雰囲気を覚えていますが、手作りを大切にするところなど、どこかで影響を受けているのかもしれません。

 

「AJCクリエイターズコンテスト 2024」への関谷さんの出品作品

「AJCクリエイターズコンテスト 2024」への関谷さんの出品作品

――コンテストに応募したのは今回が初めてですか。
関谷さん:はい。コンテストに出してみたいと思いついて調べてみたところ、「AJCクリエイターズコンテスト」を見つけました。

――来年も出品したいですか。
関谷さん:一次選考通過の連絡を受けたときは本当にうれしかったです。レベルが高いので、しっかり準備して来年も挑戦したいです。

――作品に取り掛かるときは、どういう作品にするか、どんなテーマにするか、などから考えていくのでしょうか。
関谷さん:作りたいもののアイデアはたくさんあるので、その中から選びます。

――コンテスト作品以外はどんなものを作っているのですか。
関谷さん:このスマホカバーも刺繍です。母の日にはTシャツに刺繍して母にプレゼントしました。父には筆箱を作ったことがあります。ものづくり同好会に所属しているので、学園祭で作品の展示もしました。

――これからも刺繍は続けたいですか。
関谷さん:はい。自分の作品を通していろんな人に喜んでもらいたいです。教えたりすることもできたらいいな、と考えています。

スマホケースもお手製。<七転び八起き>のパンダの刺繍がかわいい!

スマホケースもお手製。<七転び八起き>のパンダの刺繍がかわいい!

関谷さん、お話を聞かせていただき、ありがとうございました。
やわらかい雰囲気を持ちながら、「自分という人間を知ることができた」とはっきりとした口調で話してくれるのが印象的でした。
自分の好きなことを極める姿がすてきです。これからもすてきな作品で楽しませてくださいね。