コミュニケーションが苦手な中学生・高校生へ
- 通信制高校の学び
“コミュ障”は性格のせいじゃない。「スキル」を身につけて高めるコミュニケーション力
「うちの子はコミュニケーションが苦手で…」
「人と話すのが怖いと言っている」
こうした悩みが、保護者の方から多く聞かれます。
しかし結論から言えば、
コミュニケーションが苦手なのは性格ではありません。
多くの場合は
「経験不足」
「練習の機会がない」
これが原因です。
実はコミュニケーション力は、知識やコツを「学び」、トレーニングによって「高めることができるスキル」なのです。
目次
中学生・高校生に多い「コミュニケーションが苦手な子どもの特徴」
NHK学園でも、生徒のこんな場面をよく見かけます。
先生に話しかけられず、職員室の前で立ち止まってしまう
分からない問題があっても質問できない
友人関係でトラブルが起きると、距離を切ってしまう(SNSブロックなど)
アルバイトや面接に挑戦したいが、怖くて応募できない
これらはすべて、
「コミュニケーションが苦手に見える典型例」です。
しかし実際には、
・話し方が分からない
・どう切り出せばよいか分からない
・失敗経験が少なく失敗することへの恐れが強い
といった「スキルの不足」「経験不足」が背景にあります。
コミュニケーション力は「学ぶもの」に変化している
近年、教育分野では
コミュニケーションは「訓練によって身につけられる能力」と考えられるようになっています。
特に重要なのが以下の2つです。
① SEL(ソーシャル・エモーショナル・ラーニング)
SELは、アメリカの非営利団体であるCASELが提唱し、世界的に広がっている教育アプローチです(CASELのフレームワーク参照:https://casel.org/fundamentals-of-sel/what-is-the-casel-framework/)。「社会と情動の学習」とも言われ、子どもの「人との関わり方」を育てる学習です。
主に次の5つの力を育てます。
自己理解(自分の気持ちを知る)
セルフマネジメント(感情をコントロールする)
他者理解(相手の気持ちを想像する)
対人関係スキル(人と関係を築く)
責任ある意思決定
近年日本でも「非認知能力」という言葉で注目されているような、お互いの“きもち”の動きに着目して、ストレス対処、より良い人間関係を築く力を高める学習です。社会性と情動的スキルを高めることは、いわゆる認知能力と呼ばれる学力や、その人の幸福度、ウェルビーイングの向上に不可欠であり、その土台となるという研究結果も示されています。
② SST(ソーシャル・スキル・トレーニング)
SSTは、教育・精神医療分野で実践されている行動トレーニング手法です。
【参考】
SST普及協会
https://www.jasst.net/
具体的な場面を想定してトレーニングを行います。
例えば
質問の仕方
断り方
謝り方
伝え方
を、モデルやロールプレイで繰り返し練習します。
つまり
「やり方を知る → 練習する → できるようになる」というアプローチです。
コミュニケーションが苦手な子どもほど「練習」で変わる
大切なポイントは、
コミュニケーションが苦手な子どもは才能がないのではなく、経験と練習が不足しているだけというケースが多いということです。
例えば
・話しかけ方がわかれば、先生と話せる
・質問の型を知れば、問題を聞ける
・人間関係のコツを学べば、トラブルを回避できる
というように
「定型」や「コツ」を身につければ、行動が変わります。
このような考え方をもとに、実際に教育現場でもプログラム化された取り組みが進んでいます。
その一例として、NHK学園では「コミュニケーションスキル」という独自科目を設置しています。
オンラインで学ぶ「コミュニケーションスキル」
コミュニケーションを学ぶのは対面で、というのが一般的です。
しかし、学びの場に来られない中にもコミュニケーションで困っている人はたくさんいます。
NHK学園に入学してくる生徒の中にも
「自分はコミュ障だから」
「人とうまく話せる自信がない」
という生徒がいます。
また、普段の会話には問題を感じていないけれども、
・誘いを断る
・言いにくいことを伝える
といったことに苦手意識を感じている生徒は多くいます。
そんな生徒たちにぜひ、コミュニケーションのコツやスキルを身につけてほしいと考えて設置したのが「コミュニケーションスキル」という科目です。
NHK学園が開発した「コミュニケーションスキル」教材には、
質問するスキル
伝えるスキル
断るスキル
謝るスキル
といったスキルを日常で遭遇する具体的な場面の中で
実践的に学べる内容が揃っています。
・自宅で学べるオンライン教材
・SELとSSTを組み合わせた設計
・実際の生活場面に直結した内容
で、「知識」を身につけるだけではなく行動できる力を育てるのが特徴です。
さらに、NHK学園が学びの多様化学校(不登校特例校)として設置するライフデザインコース(https://www.n-gaku.jp/sch/course/life-design/)では、オンラインでの学びに加えて、対面での練習・実践の場をプラスして指導を行っています。
監修は法政大学の渡辺弥生教授です。専門は発達心理学で子どもたちへのSST指導に取り組んでこられました。日本SEL学会(https://j-sel.org/)の理事も務めていらっしゃいます。
長年のSSTの指導の中でオンライン教材の必要性を感じ、NHK学園の「コミュニケーションスキル」を監修してくださいました。
なぜ今「コミュニケーション力を高める教育」が重要なのか
文部科学省も2022年に行われた「生徒指導提要」(https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1404008_00001.htm)の大規模改訂で、SELやSSTの必要性を明確に示しました。
【参考】
文部科学省「生徒指導提要」
背景には以下があります。
人間関係のトラブルの増加
SNS時代のコミュニケーション複雑化
非認知能力(社会性・自己管理)が重視されていること
SNSなどオンラインでのやり取りも増える中、人と円滑なコミュニケーションを取れる力が改めて重要な時代を迎えているということです。
まとめ
最後に、お子さんの周囲にいらっしゃる方へ、重要な点をまとめます。
・コミュニケーション力は「伸ばせる力」です。
・コミュニケーションが苦手なのは性格ではなく、多くは「経験不足・練習不足」です。
・オンラインでもSELやSSTの考え方に則って体系的に学べます。
そして、「知識」や「コツ」を身につけたあとに必要なのは「練習」「経験」です。
NHK学園の「コミュニケーションスキル」の中でも「リハーサル」のステップを設けて、実際に声に出して練習をするように構成されています。
その次の段階として、リハーサルしたことや学んだことを「実践」してみようというお子さんの一番の練習相手になれるのは、周囲にいる家族や大人たちです。
ぜひ、一生懸命投げた「会話のボール」を受け止めてあげてください。
間違えても問題のない環境でたくさん練習をしたお子さんは、きっと自信を持ってコミュニケーションの場を広げていくはずです。
コミュニケーションスキルは、人生を支える基盤になります。