NHKの放送とネットが融合した、通信制高校のパイオニア

NHK学園高等学校

NHK学園から大学・大学院へ進学し法学を学んで弁護士の道へ 卒業生・臼杵裕佳子さん

ドイツへのバレエ留学を念頭にNHK学園へ入学

NHK学園へ入学したいきさつを教えてください。

臼杵さん:私は2013年4月にNHK学園に入学しました。当時、クラシックバレエをやっていて、中学3年生のときには2013年9月からドイツに留学することが決まっていたのです。そこで、留学と日本の高校の勉強が両立できるNHK学園への入学を決めました。

そうだったのですね!ほかの通信制高校も検討されましたか。
臼杵さん:バレエの先輩方からのアドバイスもあったので、候補は絞られていました。夏休みだけ沖縄に行ってスクーリングをうけるという学校との二択だったのですが、留学先でも継続的に勉強ができるNHK学園に決めました。
留学されるということはバレエダンサーをめざして本格的にバレエに取り組まれていたということですね。
臼杵さん:そうですね。3年の予定でドイツに渡ったのですが、古傷が痛むようになりました。時差があるので、家族や友人に相談をしたくてもままならず、精神的にもダメージが大きくなっていきました。結局、2014年4月に帰国しました。
意を決して留学されたと思います。つらい思いをされましたね。
臼杵さん:つらい思いはしましたが、帰国するときには「やり切った」という気持ちでした。

帰国後は海外生から現スタンダードコース生に変更

帰国後は、海外生からベーシックコース(現スタンダードコース)生に変更されたのですね。在学中、思い出に残っていることはありますか。

臼杵さん:はい。法学部をめざして受験勉強を始めてからは、スクーリングの日が気分転換になっていました。2年次のときの学園祭では、なんちゃって制服を着て模擬店巡りをしたのが楽しい思い出です。3年次のときの運動会も懐かしい思い出です。

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弁護士をめざした理由

弁護士をめざした理由やきっかけは何だったのでしょう。

臼杵さん:もともと勉強することが嫌いではないので、帰国したら何か勉強したいと思っていました。まっさきに頭に浮かんだのが弁護士だったのです。中学の時に裁判傍聴の機会があったことと、天海祐希さんが主人公を演じていた「離婚弁護士」というテレビドラマのファンで、女性が法律を盾にして戦う姿がかっこいいと感じたことがありました。自分自身がドイツに留学中、悩みがあっても相談できずに苦しかった経験も影響しているのかもしれません。あの頃にちょっとでも相談できたら、どんなに気持ちが楽になったか、という思いが「人の話を聞いてあげたい」というかたちで弁護士という仕事の選択につながっているように思います。

大学法学部、法科大学院での学び

NHK学園卒業後は日本大学法学部に進学されました。入学してみていかがでしたか。

臼杵さん:日本大学は司法試験対策を備えている大学ということで選んだのですが、先生の面倒見がよくて、一人ひとりをよく見てくれました。ゼミにもOBの弁護士の方がいらしてくれたり、先生やOBが相談に乗ってくれたり、とても助けられました。

大学卒業後は、早稲田大学の法科大学院に進まれましたが、こちらはいかがでしたか。
臼杵さん:2020年に入学で2022年に卒業したので、在学中はコロナ禍真っ只中でした。授業の開始もひと月遅れました。交換留学制度があったので、当初は留学もしたいと考えていたのですが、TOEFLやTOEICの試験も開催されず、留学は難しい状況でした。自習室に通って勉強するようになり、そこで同じように自習している仲間ができたのがよかったです。
弁護士としての専門分野は最初から「この分野」と決めているものなのでしょうか。
臼杵さん:労働問題、離婚問題、相続問題などさまざまな分野に取り組む中で、だんだんと見極めていくのが一般的ではないかと思います。

弁護士の仕事のおもしろさ、難しさ

弁護士の仕事の楽しさ、おもしろさはどんなところにありますか

臼杵さん:個人が相手の場合には、離婚問題などその方の人生が私たちの肩にかかっています。怖さもありますが、事がうまく運ぶとお礼を言ってもらえるやりがいのある仕事です。人生の局面に立ち会って、人の生き方を知るというなかなかない経験をさせてもらっています。企業や学校などが相手の場合には、働いている人、生徒、先生、保護者などを守っている経営者の大変さを助けることができる点がやりがいです。

大変なのはどんな点でしょうか
臼杵さん:さまざまな依頼がある中で依頼者の気持ちと法律にできることにズレが生じてしまうことがあります。依頼者の望む通りにはいかないまでも納得ができるように進めることの難しさを感じます。また、依頼を受けた内容について相手方とお話をする際に、こちらの思っている以上に語気が強く聞こえてしまう場合などもあり、難しさを感じるところです。

「弁護士はハードルが高い」と考えている中高生へ

弁護士になるのはハードルが高いと思っている中学生、高校生もいると思います。

臼杵さん:確かに合格まで時間もお金もかかる道ではありますが、弁護士だから偉いとか、近寄りがたいということではなくて、私は弁護士という仕事は「依頼者と一緒にどうしたらいいかを考える仕事」だと思っています。もちろん、法律のアドバイスが本業なのですが、「どう生きていったらいいか」「どうしたいか」を解きほぐすカウンセリングのような仕事です。勇気をふりしぼって相談に来てくださった方が「話を聞いてもらってよかったです」と言ってくれたときは、この仕事に就いてよかった、と思う瞬間です。

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弁護士という職業にやりがいを感じている臼杵さん

〈先輩からのメッセージ〉

「私、家では勉強が進まないんです」と教えてくれた臼杵さん。法科大学院時代もそのために大学の自習室に通っていたそうです。自分ができる方法を見つければいいのだから「自宅ではなかなかレポートが進まない」という生徒も心配しないで!と励ましのことばをいただきました。臼杵さん、ありがとうございました!