自分で考え、計画を立てる通信制が合っていた
- スタンダードコース ベーシック
東京本校
スタンダードコース
もっと物理学の勉強のための時間が欲しいと考えて、転校しました
近藤さん:ディスカッション以外は、動画教材を見て、小テストを受けて、レポートを提出し、期末テストを受ける、といった感じでNHK学園での学習スタイルとあまり変わりはありません。テストで規定以上の点数が取れていて、提出物が期限内に出せていれば単位が取得できます。疑問や気になることがあるときに気兼ねなく質問できる人(教授)がいるのがいいですね。あと、執筆と研究に時間が割けるのもうれしいです。おかげで、2冊目の本も20歳を迎える前に出版することができました。アメリカの大学に進んでいたら一般教養科目をたくさん履修しなければならず、これほど自分の時間が取れることはなかったでしょう。
近藤さん:はい。全て独学で学びました。ただし、物理学はこれまで学んできた分野とは違って数学の予備知識がかなり必要でしたので、並行して数学の勉強を進めました。始めは三角関数も微積分も知らなかったので大変でしたが、それらは単なる計算規則と割り切って、意味は後で掴むことにしました。その内数式の物理的意味がわかってくるようになると、自然の動き方や構造が簡潔な数式で見事に記述できていることに感銘を受け、ますます物理を究めたいという思いが強くなりました。
その過程で生じた疑問はたくさんありましたが、同じテーマの別の本を読んだり、疑問はとりあえず置いておいて先に進んだりしました。幸いにも物理学の理論には階層性がありますので、生じた複数の疑問は一気に解決したりします。数理系の勉強は最初はわからないことの方が多いですが、それらの疑問を解消した瞬間の嬉しさは他の分野ではなかなか味わえないものと言えるかもしれません。しかも、誰かに教えてもらったのではなく、自分の力で解消したとなればなおさらです。
実績もコネもない中学生の本を出版してくれるという出版社はなく、今度は理工系の本を出版している出版社に絞って、13社に原稿を送り、そのうち3社からよい反応を得ました。交渉の結果、この本の価値を理解して、著者のことも考えてくれていると感じたベレ出版に依頼することにしました。単なる話題性だけで、中身がなければすぐに売れなくなるものですが、嬉しいことに現在第10刷まで増刷を重ねています。
近藤さん:僕は今、物理学を学んでいますが、学位は持っていません。僕が大学に行っているのは、大学院に入学するために必要な学位を取るためというのが最も大きな理由です。すでに進みたい分野が決まっている場合には、高校も同じではないでしょうか。「高校卒業」という目標を達成するために入学するのであれば、主眼は「どこの高校か」ということではありません。目標達成のための負担が大きすぎないことを主眼に選ぶことになるでしょう。
一方、進みたい分野が決まっていない人にとっても無駄な学びはありません。例えば、数学は何より厳密であることを重んじるので、「抜け道のない考え方」が非常に重要で、そのことは法学においても同じで、数学の論理的な方法論が後に法律を学ぶ際に生きてくる、ということもあると考えます。他にも、文学(国語)は文章力や説明力を、哲学や社会科は思考力を養うことにつながるはずです。僕も昔から文学書や哲学書などをたくさん読んできましたが、考えを巡らせたり、文章を書いたりする上で参考になることがたくさんあります。
要は、何事も活かし方次第ということですが、たとえ数学での学びはやはり何の役にも立たなかったと感じたとしても、それは数学を使う必要のない道に進んだだけで、言うまでもなく数学が実際に役に立っていないという訳ではありません。これは英語、古典あるいは家庭科などに置き換えても同じです。
僕は、少なくとも大学4年までに学ぶことは本だけでも十分に学べると思いますが、生じた疑問を専門家に質問できたり、自分の視野を広げる経験が得られたりできるのが、高校や大学に行く大きな意義ではないでしょうか。