通信制高校におけるSEL(社会性・情動的学習)の効果を国際学会で発表
- コミュニケーション
NHK学園高等学校の「コミュニケーションスキル」がISPA2026で注目
2026年7月8日から11日にかけてフランス・リヨンで開催された国際学校心理学会(ISPA:International School Psychology Association)(リンク:https://ispaweb.org/)2026年大会において、NHK学園高等学校の教育実践に関する研究成果をポスター発表しました。
今回発表したテーマは、
「SELを通じた青年期以降のコミュニケーションスキル向上―通信制高校における実証研究」
です。 本研究は、NHK学園高等学校が独自に開発・実施している「コミュニケーションスキル」科目を学習した生徒のアンケート結果をもとに、その教育効果を分析したものです。
SEL(社会性・情動的学習)とは?
SEL(Social and Emotional Learning:社会性・情動的学習)とは、自分の感情や考えを理解し、他者との良好な関係を築きながら、社会の中でよりよく生きていくための力を育む教育アプローチです。
近年、学校教育では学力だけでなく、
- 自己理解
- 感情のコントロール
- コミュニケーション能力
- 協働する力
- 問題解決力
などの非認知能力を育成する重要性が注目されています。
SELは、子どもの「人との関わり方」を育てる教育アプローチとして世界で広がりを見せています。
NHK学園高等学校では、SELの考え方を下敷きにしたオンラインでの学習科目として「コミュニケーションスキル」を設置し、生徒たちはテキストと動画を中心に、オンラインでレポートを提出しながら学んでいます。
「コミュニケーションスキル」科目での学習で見られた変化
今回の研究では、2024年度に「コミュニケーションスキル」科目を履修した生徒を対象に、学習前後のアンケート結果を比較しました。
分析の結果、特に次の項目において向上が見られました。
- 感情への気づき
- 自分自身の感情を理解する力
- 他者の感情を理解する力
- 対人関係スキル
- 相手との関係を築く力
- コミュニケーションを円滑に行う力
研究方法には今後の課題もありますが、通信制高校におけるSEL教育の有効性を示唆する結果となりました。
国際的にも高く評価された研究内容
本研究は学会への応募段階から専門家による高い評価を受けました。
特に日本のように競争の激しいアジア諸国において、学校でSELを実施することが課題となっているのが現状です。それを踏まえて
- 非常にタイムリーな研究テーマである
- 厳密な方法論に基づいた研究である
といった評価が寄せられました。
世界の学校心理学研究者から寄せられた関心
学会当日は20~30名ほどの参加者がポスター発表を閲覧し、質問や意見交換が行われました。参加者は世界各国の学校心理学の研究者や教育専門家です。
発表では特に、以下の点に高い関心が寄せられました。
- オンラインで学べるコミュニケーション教育であること
- 通信制高校におけるSELの実践であること
- 動画教材を活用した学習プログラムであること
これからの時代に求められるSELとコミュニケーション教育
社会のデジタル化やコミュニケーション手段の変化により、現代は自然な形で人と関わりながら学ぶ機会が以前より減少しているとも言われています。そのような中で、SELやソーシャルスキルトレーニング(SST)は、高校生だけでなく、幼児期から小学校・中学校・高等学校に至るまで、幅広い教育段階で重要な役割を果たすと考えられます。
NHK学園高等学校では、
- 自分らしさを大切にすること
- 他者を尊重すること
- 安心して学べる環境づくり
- コミュニケーション力の育成
を重視し、生徒一人ひとりの成長を支援しています。
SEL教育の普及によって、「コミュニケーションが苦手な人だけが学ぶもの」というイメージが変わり、誰もが心理的安全性や自己肯定感を育みながら学べる社会につながることを期待しています。