パレスチナ視察団が東京本校を訪問

2025.12.05

国内の通信教育の刷新に向けて学習方法や放送の活用、ネット学習システムを視察

12月2日に、理科・技術・数学のデジタル教材に携わる Content Development Team(CDT)のメンバーが、日本における理数科教材の開発手法や授業での活用方法を習得し、「わかりやすく・面白い」教材の作成に活かすことを目的としてNHK学園東京本校を訪れました。パレスチナ研修員約20名での来訪です。

プロジェクトの背景として、パレスチナでは紛争下の厳しい状況にありながら教育へのアクセス拡大が進められてきましたが、特に理科や数学などの理数教育の質の向上が大きな課題となっています。

今回の研修では、「わかりやすい映像教材」の作成とその効果的な活用方法についてのディスカッションや、NHK高校講座を活用したNHK学園のeラーニングの説明、スクーリング参観などを行いました。

また、質疑応答の中では、日本とパレスチナの高校卒業の仕組みの違いについて、多くのパレスチナの参加者から質問が寄せられました。

日本の高校では、授業への参加状況や提出物、日々の学習の積み重ねといった「過程」が重視されており、生徒一人ひとりの状況に合わせた学び方が認められています。そのため、学びのプロセスを丁寧に積み上げることで卒業に近づいていく仕組みになっています。

一方、パレスチナでは高校卒業は 「タウジヒ(Tawjihi)」 と呼ばれる大規模な統一試験の結果によって決まります。タウジヒは生徒の進学や将来に大きく影響するため、日常の学習よりも、この最終試験に向けた準備が重視される傾向があるそうです。

こうした卒業制度の違いは、教育への向き合い方や日々の学び方にも大きな差を生みます。研修参加者にとって、日本の「学びの過程を評価する」という仕組みはとても新鮮だったようで、多くの関心や質問につながりました。

NHK学園にもさまざまな理由で生徒が入学してきます。高校の卒業資格を持たなければ、専門学校・大学への進学はもちろん、資格によっては資格修得のための試験の受験ができません。高校の卒業資格は「社会に出るための切符」といえるのではないでしょうか。社会を担う人材を育てるために、教育が大切という点は、パレスチナも日本も変わらないと改めて感じました。

最後には、研修員の皆様からパレスチナ地域で古くから受け継がれてきた伝統的な陶芸の記念品をいただきました。視察団のみなさま、ご訪問ありがとうございました。今回ご見学いただいた内容が、みなさまの今後の活動において何らかのヒントになればうれしいです。