「麒麟流作句法(13)」が届きました!いつも元気な西村麒麟さんですが・・
病気になったから出来た句

現在は完治しましたが、少し前に人生初の肺炎になってしまいました。肺機能が半分程度に低下し、咳が止まらないのでとにかく苦しい体験でした。
肺炎の日々朝涼し夕涼し 西村 麒麟
病が落ち着いてからも、人に感染させてはならないので、当分は自宅で大人しくしていました。もちろん対面の仕事は全てキャンセル。最近は少し忙しくしてましたので、久しぶりに静かで穏やかな時間を過ごしていました。この句は少し病状の落ち着いた時間帯、辛い時間があるからこそ、咳の出ない時間がありがたい。病気になったから出来た句と言えます。
梅雨深し病が肺を泳ぎをり 西村 麒麟

楽しいことを楽しく俳句にするのと同じように、病気の時は病気を俳句にすることが出来ます。この句、もちろん肺の中を泳いでいるのは肺炎の菌。病気は辛く、嫌なものですが、それを俳句にすることは自分の体を受け入れることだとも思っています。
夏風邪の鼻一帯を捨てたしと 西村 麒麟
実際は大変な状態でも、俳句にすると少し面白い印象も表現出来るのが不思議です。辛いことを辛いと俳句にすることも、辛いことを面白い俳句にすることも作り手の自由です。個人的には、マイナスの要因をプラスに作り変える方が前向きになれるので楽しい気はします。

紫陽花やいきいき病んでゐたる人 西村 麒麟
周囲の人からすると、楽しそうに病気の俳句を書く妙な人だなと思うかもしれませんが、辛い時の体や心もまた、僕という人間の一部なのです。
でももう肺炎は辛いので嫌です、最近は体に健康に気をつけるようにしています。
西村麒麟

西村麒麟
1983年生まれ。東京都江東区在住。俳句結社「麒麟」主宰。「古志」同人。第65回角川俳句賞受賞。句集に「鶉」「鴨」。長谷川櫂に師事。現在、NHK学園市川オープンスクールで「きりんと学ぶ! 俳句の夜 西村麒麟・ 俳句塾」を開講中。
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