一瞬の命の輝きを詠む
俳句倶楽部 講師 高野ムツオ
還暦を迎えた年、私は咽頭癌を患いました。進行性で、声を失う可能性や再発転移の可能性も高く、結果は手術次第という診断でした。
あと何年生きられるか、生きられるとすれば、これから何ができるか、真剣に考えました。
幸い手術は成功。術後の痛みや苦しさを堪えながら、句作にいそしみ、俳句に支えられながら回復に努めました。そして、俳句はそのときそのときの一瞬の命の輝きを詠うものだ、とあらためて分かったのです。
これが、私の闘病で出会った俳句の新しいあり方でした。
NHK学園俳句講座について
NHK学園俳句講座創設者 飯田龍太
NHK学園俳句講座は、昭和56年(1981年)、飯田龍太先生の「日常のこころを大切に」という言葉とともにスタートしました。
龍太先生は、父、飯田蛇笏が築いた伝統を引き継ぎながら、自然を豊かな感性で詠み、近代俳句の歴史に輝く大きな足跡を記しました
開講当初は、通信講座での俳句学習が可能かどうかも未知数でしたが、これまでの受講者は50万人を超えました。
NHK全国俳句大会には、お名前を冠した「飯田龍太賞」を設定。先生の思いを継ぎ、これからもこころ豊かに生き、学ぶみなさまのお手伝いをしてまいります。
飯田龍太(1920-2007)
1920年、山梨県生まれ。父飯田蛇笏の死去により、俳句結社「雲母」を継承・主宰。俳句の裾野を広げるため、俳句愛好家の指導に尽力した。日本芸術院賞恩賜賞受賞、紫綬褒章受賞。2007年逝去。
※無料でお送りする「案内書」と同じものがご覧になれます(NHK学園のページを離れます)。