ようおいでたなもし 松山俳句通信【第31回】

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2021.07.14

松山の「オオタニサン~」との呼び声も高い、伊予吟会 宵嵐さんから今月も届きました『松山俳句通信』。宵嵐さんも短歌と俳句の二刀流が絶好調のようです!

 

 

あけぼの寿司

 

突然ですが、「あけぼの寿司」というメニューをご存知でしょうか。
松山市では給食の人気メニューのひとつとして定着していますが、他の地域ではおそらく何のことか分からないのではないでしょうか。
松山市中央卸売市場のホームページに作り方が載ってたので引用します。

 

人気メニュー 松山市の給食

人気メニュー 松山市の給食

 

(1)米はたく30分以上前にとぎ、ざるにあげておく
(2)米を炊飯釜に入れ、オレンジジュースと調味料(塩・砂糖)とちりめんを入れ、水加減をして、炊きあげる。
(3)人参・牛蒡・干椎茸を砂糖・塩・しょうゆで調味する。
(4)卵は、錦糸卵にする。
(5)さやえんどうはさっと塩茹にし、上盛り用に切っておく。
(6)炊きあがっ御飯に、具を混ぜ合わせて、彩りよく錦糸卵・さやえんどう・刻みのりを飾る。

 

要するに、酢の代わりにオレンジジュースを入れて炊き込んだちらし寿司です。謎解きをしたら単純な話ですが、蜜柑王国ならではのメニューということが分かります。

 

「あけぼの寿司」みかん・いよかんジュースを使用

「あけぼの寿司」みかん・いよかんジュースを使用

さて、今度は松山市の水産物市場に場所を移します。

こちらの正門前に、かなり前ではありますが、大きめの句碑が建立されました。

句碑

句碑

われに法あり君をもてなすもぶり鮓
ふるさとや親すこやかに鮓の味
われ愛すわが豫州松山の鮓

 

いずれも子規の句です。漱石が松山の子規を訪ねたおり、母の八重が作った「松山寿司(ちらし寿司)」をおおいに喜んだというエピソードが残っています。
子規にとって母の作った寿司こそが故郷の味であり、沢山の句を残したことも頷けます。子規に限らず松山の人は所謂ちらし寿司が大好きで、家庭でもよく作ってきた経緯があります。だからこそ、酢の代わりにオレンジジュースを入れるという発想が浮かぶのですね。