ようおいでたなもし 松山俳句通信【第28号】

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2021.04.14

みなさま今月も俳都松山から熱すぎる男、伊予吟会宵嵐さんのお便りが届きました。ここ最近は、俳句のみならず短歌大会でも好成績を残し、破竹の勢いでいらっしゃるようです。今回は、正岡子規も愛した野球のお話しです。

 

 

松山市内の平和通りを歩いていると、数十メートルごとに句碑が立っています。その中のひとつに次のような一句があります。

夏草やベースボールの人遠し  子規

 

 

この句自体は明治31年の作品です。子規が熱烈な野球愛好者というのは有名な話で、日本にこのスポーツに伝わった初期には、選手としても活躍していたそうです。明治22年に喀血して野球選手は辞めてしまいましたが、病床にあった明治31年の、身動きのとれない状態でこの句を詠んだところに、野球に対する念が残っていると言わざるを得ません。

中馬庚がベースボールを野球と翻訳したのは明治23年のことですが、その四年前には、幼名の升(のぼる)にちなんで「野球(のぼーる)」という雅号を使っていました。そういう意味では、この国で野球という言葉を初めて使ったのは子規ということになるのでしょう。 

さて、松山には夏目漱石の小説にちなんで、坊っちゃんスタジアムとマドンナスタジアムという二つの野球場があります。

 

坊ちゃんスタジアム

坊ちゃんスタジアム

坊ちゃんスタジアム

坊ちゃんスタジアム

 

メインの坊っちゃんスタジアムは、正式には松山中央運動公園野球場と称し、東京ヤクルトスワローズが秋季キャンプ地として使用してます。過去にオールスターが開催されたこともあり、2002年7月の球宴は私も見に行きました。

 

マドンナスタジアムの正式名称は松山中央公園サブ野球場です。四国アイランドリーグの愛媛マンダリンパイレーツの公式戦が行われるほか、アマチュア野球を中心に利用されています。また、特にその名称から女子野球の聖地と言われています。

 

そして、この二つの球場のある松山中央運動公園の最寄り駅は市坪駅が正式な駅名ですが、子規の雅号にちなんで野球(のぼーる)駅という愛称がついているのです。無人駅で中に入れますので、駅名標の前で記念写真を撮ってはいかがでしょうか。漱石にちなんだ野球場と子規にちなんだ駅、お薦めです。