ようおいでたなもし 松山俳句通信【第26回】

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2021.02.19

梅が咲きほころぶ春の俳都松山から、宵嵐さんからのお便りが届きました!

そして、宵嵐さんも秀作入賞をはたされた「第22回NHK全国短歌大会」。上位作品をご紹介する放送日が近づいてきました。

2月21日(日)午後2時30分~3時30分。

NHKEテレで、どうぞご覧ください~

 

空の散歩道

道後温泉駅から商店街に入らずに、真っ直ぐ坂を登っていくと、遠くに長い石段と伊佐爾波神社が目に入ります。右手に老舗旅館のふなやがあるあたり、左手にも石段があることに気付きました。小さな標識には「空の散歩道」の表記、そして湯神社の鳥居。ハテナマークに支配されたまま、ついつい石段を登ってしまいます。

小高い丘の上には広めの駐車場と右手に小さな社。そして大きな樫の木がありました。そして駐車場を突き切って何気なく崖から見下ろすと、なんと道後温泉本館が!

ここは知る人ぞ知る道後温泉本館の俯瞰スポットなのです。

最も見晴らしの良い地点には足湯があり、足を入浴させながら道後温泉本館を目で楽しむ不思議な体験が出来る場所です。その傍らには当然のように子規の句碑が。

寒椿落て氷るや手水鉢  子規

明治26年の11月の子規の書簡に記された句です。子規の直筆をそのまま碑文にしていますが、達筆すぎて読めません(笑)。

 

そして、丁度訪れた日には、句碑に寄りそうように紅梅が咲いていました。

 

余談ですが、椿は松山市の市花になっています。詳しくは松山市のHPに記載されていましたので参考までに貼付しておきます。「昭和47年、松山市は市花として「つばき」を選んだ。日本原産のこの花は全国いたるところに咲くが、理由は法興6(596)年聖徳太子が道後に行啓され、これを記念して、伊佐爾波岡に立てられたという温泉の碑によるもので、この文章は「伊予国風土記」逸文のなかにも載せられ、我が国最古の金石文として重要なものである。その碑文中「温泉の周囲には椿の樹が茂って温泉を取り囲み、その壮観なことは、実にたくさんのキヌガサをさしかけたようにみえる」という意味の句がある。当時、温泉の周囲には、椿の木が繁茂し、鳥がさえずり、仙境の観を呈していたことがうかがえる。この碑文の由来から「つばき=ヤブツバキ」が選定されたのである。」 

 

 

7年間の建て替え工事中の道後温泉は、火の鳥の幕で覆われて、工事をしながら営業を続けています。今年7月から東側を入り口にして、部分的に完成している霊の湯で新たに営業を始めるそうです。東側から入湯出来るのは長い歴史の中で後にも先にも今だけではないでしょうか。コロナ禍が落ち着いたタイミングで是非、道後温泉にお越しください。そして、丘の上から工事の進捗をご覧ください。