「第5回 四季の写真展」総評と受賞作品をご紹介します
横浜・山下公園の向かい「神奈川県民ホール ギャラリー」にて開催された「第5回 四季の写真展」。会期中は多数の方にご来場いただき、大盛況のうちに終了することができました。みなさまに心より御礼申し上げます。3名の審査員による総評と受賞作は、こちらからご覧ください。少しでも会場の雰囲気をお届けできましたら幸いです。
【開催概要 ※終了しました】2022年8月24日(水)~8月28日(日)入場無料
※開館時間は9:00~18:00。最終日は15:00まで。
主催:NHK学園
後援:NHK・公益社団法人日本写真協会・公益社団法人日本写真家協会・横浜市文化観光局
審査員の総評をご紹介します
【総評】
コロナは長期戦、早い梅雨明けに直後の猛暑なども加わって、撮影意欲が高まりにくい状況が続いていますが、少し前の写真から直近撮影の写真まで300点を超える作品を目にすると、皆さんの静かな熱量が伝わってきて刺激になりました。経験を生かして狙いを定める人、身近なところで新鮮な発見を楽しむ人、写真との関わり方は一人一人異なりますが、季節の移ろいの中、様々な視点でのアプローチは見応えのある展示になりそうです。
【総評】
「ヨコハマ部門」開設ということで横浜在住の私が審査に参加させていただきました。コロナ禍とは申しましてもたくさんお送りくださった皆様の力作を前にちょっとたじろぎました。どちらの作品も非常に熱がこもっていて構図、タイミング、カメラ操作、どれも素晴らしかったです。あの神奈川県民ホールギャラリーの壁を飾るのが今からとても待ち遠しいです。
とはいいつつも、ヨコハマ部門に集まった作品の撮影地がみなとみらいや山下公園などちょっとベタなお決まりコースばかりな感じがちょっと残念でした。せめて山手の西洋館ぐらいには登って来てください。
【総評】
季節の写真展にあつまる数々をワクワクしながら拝見させていただきました。
コロナ禍で旅行等にはなかなか行けない昨今ですが、皆さんの写真から、身近な日常の中にも、季節を感じられるシーンがたくさんありました。ファインダをとおしてみると、何気ない日常がドラマティックになったりするものですね。
だからカメラって楽しい♪ みなさんのそれぞれの季節の視点がたのしい写真でした。
主な受賞作品
NHK学園大賞「秋の喜び」小山 乾 様
【NHK学園大賞】
「秋の喜び」小山 乾 様(東京・日野市)
■審査員講評【茅野 義博 審査員】
画面いっぱいに広がったコスモス群の鮮やかな色彩の競演が心地よく視界に飛び込んできます。その中を行く3組の車椅子の人たちも楽しそう、画面構成や動きを捉えるタイミングの判断が良く、季節の移ろいや人生の移ろいなど、写真の中でいろいろなことを想いながら幸福感に包まれてくる作品です。
■撮影情報
撮影地:東京都立川市 昭和記念公園
カメラ:キヤノン パワーショットG7X
レンズ: 8.8-36.8mm
絞りf:8
シャッター速度:1/400
撮影感度 ISO~(フィルムの場合はフィルム感度):125
日本写真協会会長賞「家族」山下 修司 様
【日本写真協会会長賞】
「家族」山下 修司 様(徳島・坂野郡)
■審査員講評【茅野 義博 審査員】
エサを求める子どもたちに囲まれて、堂々とした姿の親鳥の佇まいが印象的です。暗いトーンの背景に浮かび上がる白い羽の繊細な諧調変化が美しく描写されており、格調高い作品に仕上がりました。正方形のフォーマットもこの光景にマッチした選択でした。
■撮影情報
撮影地:徳島市
カメラ:ソニーα9
レンズ: ソニーFE200-600mmf/5.6-6.3G
絞りf:7.1
シャッター速度:1/2000
撮影感度 ISO~(フィルムの場合はフィルム感度):2500
NHK賞「Sakura Harmony」河田 康夫 様
【NHK賞】
「Sakura Harmony」河田 康夫 様
(大阪・高槻市)
■審査員講評【小林 みのる 審査員】
明るい曇り空での撮影でしょうか?背景を完全に白く飛ばして一見シンメトリーにも見えるようなスッキリとさせた背景の整理の仕方とそのデザイン感覚が素晴らしいと思います。描かれた二つの円弧と真ん中を貫く枝。それぞれの枝には非常に形よく花と葉が付いています。これからもこのデザイン感覚と発見力を活かして素敵な作品を作り続けてください。
■撮影情報
撮影地:大阪府高槻市
カメラ:キヤノンEOS 70D
レンズ:EF-S18-135mm
絞りf:11
シャッター速度:1/125
撮影感度 ISO~(フィルムの場合はフィルム感度):100
横浜市長賞「光り渡る」坂本 正樹 様
【横浜市長賞】
「光り渡る」坂本 正樹 様
(埼玉・鴻巣市)
■審査員講評【小林 みのる 審査員】
みなとみらいのアトラクションを長時間露光で躍動感いっぱいに捉えられましたね。背景のコスモクロックも効いています。ネガフィルムで撮影とのことですが、今度はネガからの印画紙プリントをしてみてください。粒状感や発色にデジタルには無いフィルムならではの味わいがあると思います。
■撮影情報
撮影地:横浜市 よこはまコスモワールド
カメラ:ニコンF80s
レンズ: ニコン24-85mm
絞りf:8
シャッター速度:絞り優先
撮影感度 ISO~(フィルムの場合はフィルム感度):100
審査員特別賞「お先に」新保 勲 様
【審査員特別賞】
「お先に」新保 勲 様
(新潟・小千谷市)
■審査員講評【茅野 義博 審査員】
ご自宅に集うスズメたち、鳥の動きを観察しながらシャッターチャンスを待てる環境は恵まれていますね。エサを啄む一羽の動きと後方で飛び立つ一羽のボケ像を共存させた瞬間的なカメラワークが秀逸、スズメたちの動きと奥行きを生かした作品になりました。お見事!
■撮影情報
撮影地:自宅庭
カメラ:キヤノンEOS 7DマークⅡ
レンズ: EF100-400f4.5-5.6L
絞りf:7.1
シャッター速度:1/2000
撮影感度 ISO~(フィルムの場合はフィルム感度):6400
審査員特別賞「春初の花冠」小川 敏正 様
【審査員特別賞】
「春初の花冠」小川 敏正 様
(三重・伊賀市)
■審査員講評【こいけ さとみ 審査員】
見事にひらいた真っ赤な梅。背景のボケ感も美しく一輪の花を強調しています。余計なものが入っていない赤の世界に引き込まれました。こんな絶妙に綺麗な梅に出会えたのも撮影者さんの観察力と着眼点の賜物お散歩中の春の柔らかい空気感が伝わってきます。
■撮影情報
撮影地:津市 結城神社境内
カメラ:ニコンD90
レンズ: マクロニッコールVR105mmf2.8G
絞りf:3.2
シャッター速度:1/640
撮影感度 ISO~(フィルムの場合はフィルム感度):200
審査員特別賞「インフィニティ・ブルー」奥森 貴幹 様
【審査員特別賞】
「インフィニティ・ブルー」奥森 貴幹 様
(神奈川・相模原市)
■審査員講評【小林 みのる 審査員】
何とも気分爽快な写真ですね。題名も良いです。どこまでも永遠に続く吸い込まれるような様々な青のグラデーション。画面を3つに分けるそれぞれの線の配置もバランスよく収まっています。グッと抑えられた露出のおかげで白い不思議な建物が更に浮き上がって見えます。
■撮影情報
撮影地:南紀白浜温泉
カメラ:ニコンZ7
レンズ: Z 24-70mmf/45
絞りf:11
シャッター速度:1/640
撮影感度 ISO~(フィルムの場合はフィルム感度):400
生涯学習賞「伽藍を風廻る」大井 勉 様
【生涯学習賞】
「伽藍を風廻る」大井 勉 様
(香川・高松市)
■審査員講評【こいけ さとみ 審査員】
秋の風が通り抜ける動きを感じる一枚です。暖簾がフワッと舞い上がった瞬間を見事に捉えていますね。
ちらっと映る仁王様と暖簾に目が行きますが、両脇の柱も写すことによって額縁効果も生まれています。一瞬のシャッターチャンスを逃さず、構図も整っていて裏からみる仁王様と法隆寺の景色に魅了されます。
■撮影情報
撮影地:奈良県 法隆寺
カメラ:オリンパスE-M1 MarkⅡ
レンズ:12-40mm f/2.8
絞りf:4
シャッター速度:1/250
撮影感度 ISO~(フィルムの場合はフィルム感度):200
生涯学習賞「初めての着物」清水 俊雄 様
【生涯学習賞】
「初めての着物」清水 俊雄 様
(埼玉・久喜市)
■審査員講評【こいけ さとみ 審査員】
なんともかわいいスーパーショット!
嬉しさいっぱいのポーズと笑顔溢れる瞬間は七五三の最高の記念ですね。おじいちゃま(撮影者さん)の姿は映っていませんが、お二人のやりとりから生まれたこの姿。仲良くお話ししている会話まで聞こえてきそうです。初めてのお着物の嬉しさと温かな眼差しで見守られている様子まで伝わってきます。
■撮影情報
撮影地:横浜市港北区
カメラ:キヤノンEOS M5
レンズ:EF-M18-150mm
絞りf:6.3
シャッター速度:1/80
撮影感度 ISO~(フィルムの場合はフィルム感度):160
なお、第5回 四季の写真展「全入選作品リスト」を下記のPDFよりご覧いただけます。ご活用ください。