令和元年度 文部科学大臣賞が決定いたしました!

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2020.04.15

NHK学園主催 俳句・短歌・川柳の全国大会、地方大会の大会大賞作品の中から、その年の最も優れた作品に贈られる文部科学大臣賞。
令和元年度の受賞作品が決定いたしました!

 

 

俳句部門

第21回 NHK全国俳句大会 大会大賞 遠 音(とおね)さん(長野県)

三回で大なわとびの音になる

俳句部門で受賞された遠音さんの受賞作は、令和元年度「第21回NHK全国俳句大会」の大会大賞を受賞した一句です。

選者の正木ゆう子さんは
『二人で回す大縄跳びは、縄が長いので、最初のうちは縄が弛んでしまう。それが三回目にピシッピシッと地面を打ち始めたというのだ。
子供の頃に何度でもある場面だが、見過ごしてしまうような瞬間を捉えて、読み手を子供時代にタイムスリップさせるリアルな句だ』と高く評価されました。

最初はインターネット上のブログで、短歌を詠まれていた遠音さん。俳句は、そこで知り合ったお仲間にすすめられ始められたそうです。

「俳句の楽しみは、さまざまな季語に出会えること。
季語というしばりの存在は、創作するうえで、ある意味苦しいものですが、見たこともない季語に出会い、想像を膨らませる瞬間がなにより楽しいです」

遠音さんの究極の目標は、玄人にも素人にも伝わる俳句を残すこと。そんな志を存分に反映した受賞作です。

 

 

短歌部門

第21回 NHK全国短歌大会 大会大賞 大山 園枝さん(東京都)

ちちのみの父のちからの名残なる
砥石のくぼみに指をふれたり

短歌部門で受賞された大山園枝さんの受賞作は、令和元年度「第21回NHK全国短歌大会」で二人の選者から特選に選ばれ、大会大賞を受賞しました。

選者の江戸雪さんは
『長年をかけて出来た砥石のくぼみ。そこには父の所作の癖、さらには父の存在そのものが感じられ、おもわず指に触れてしまったのだ。「ち」の連なりによる韻律の響きも静かな寂しさを引き寄せている』

また、同じく選者の小池光さんも
『細かいところをよく見ている。父は几帳面な人でよく家の包丁などをじぶんで研いでいた。その砥石の僅かなくぼみが父の生きてきた証しである。そっと指を触れた。かすかな、しかしまぎれもないくぼみがそこにあった』と評価され、多くの選者から支持されました。

NHK学園の大会では、ご家族を詠った作品がよく評価されるという大山さん。短歌を始めたきっかけも、亡きお婆様の思い出を何かの形に残したいという思いからでした。

「短歌のいい所は、気持ちが落ち込んでも作品の中で妄想し、あそぶことができること。
気分がのったりのらなかったりの波はありましたが、詠むことをやめなくてよかったです」

歌を詠み続けて約20年。今後の目標は、歌をつくりつづけること。「たとえ評価はされなくても、自分で納得できる歌を一年にひとつ詠めるといいですね」と真摯に向き合う大山さんです。

 

 

川柳部門

第32回 NHK学園全国川柳大会 大会大賞 橋本 世紀男さん(東京都)

私だけ読める日記の余白です

川柳部門で受賞された橋本世紀男さんの受賞作は、令和元年度「第32回NHK学園全国川柳大会」で大会大賞を受賞された一句です。

選者の平山繁夫さんは、
『人間の醜は観念的には捨てさる事ができるが、過去の生活感情を消しさることはできない。それは文芸の本質は真実を表現することにあるからである。
また具象的、感情的に書かねばならないといわれているがその教示に応え得る短詩である』と高く評価されました。

川柳だけでなく、俳句や短歌も詠まれる橋本さん。
結社に入っていないため、ひとりよがりにならないようにと、これまでさまざまなコンクールに挑戦。10年間で300回を超える入選を果たされました。

「川柳や俳句のいいところは、初心者もベテランも名前を伏せて審査されるところ。
60歳を過ぎて始めたこともあり、キャリアに関係なく作品だけで勝負できることが最大の喜びです」

月1回お仲間に、「俳句つれづれ通信」というメールマガジンを配信している橋本さん。
今回の受賞の喜びも、ぜひメールマガジンにのせてみなさまにお伝えいただければと思います!

 

 

みなさま受賞おめでとうございます。次の作品も楽しみにお待ちしております!