平成30年度文部科学大臣賞が決定いたしました!

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2019.04.01

NHK学園主催 俳句・短歌・川柳の全国大会、地方大会の大会大賞作品の中から、その年の最も優れた作品に贈られる文部科学大臣賞。平成30年度の授賞式が、3月29日NHK学園東京本校にて開催されました。

俳句部門

NHK全国俳句大会 大会大賞 日野 久子さん(兵庫県)

俳句部門で受賞された日野久子さんの受賞作は、兵庫から遊びに来た東京で、夕暮れのビル群を目にし、浮かんだ一句。ちょうど明治神宮を通ったとき、「神無月のいま、神様はここにいらっしゃるのかな」と思って詠まれたのが結句です。

選者の髙柳克弘先生は、
『東京の夜景を「光の積木」と表現したことで、美しさとともに、儚さも伝えている。「積木」は、崩れやすいものの象徴でもあるからだ。季語の「神の留守」が暗示的で、単に神無月(陰暦十月)を指すというよりも、揺れ動く時代に拠るべき神を持たない大都会の危うさを訴えているようだ』と評されました。

退職を機に、NHK学園通信講座で俳句を学び始めた日野さん。みずからを「晩学の初心者」とおっしゃる笑顔に、「まだまだ学びたい」という好奇心があふれていらっしゃるようでした。

短歌部門

NHK全国短歌大会 大会大賞 関根 裕治さん(埼玉県)

短歌部門で受賞された関根裕治さんは、30年続けた詩の世界から短歌の世界にとびこみました。いまでは、詩・短歌・童話という三つの異なる表現方法で、ことばを発信し続けていらっしゃいます。

選者の小島ゆかり先生は、
『「天からの授かりもの」という、言い古された言葉をもちいて、これほど新鮮な展開を見せるとは驚く。「きみ」という呼びかけ、また「雲に似ている」という発想のおもしろさ。なるほど嬰児は、ふっくらと白くはかない』と評されました。

作中の「雲に似ているきみ」とは、“世のすべてのこどもたち”をさしているとのこと。かねてより、「やさしい言葉で、だれにでも伝わる表現」を目指していらっしゃるという関根さん。見事に実現された今作です。

川柳部門

NHK学園全国川柳大会 大会大賞 田辺 与志魚さん(広島県)

川柳部門で受賞された田辺与志魚さんの作品は、川柳の先生の後任として、市の生涯学習センターの講師を託されたときの心情を詠んだ一句。「はたして自分にできるのだろうか」という期待と不安の入りまじるお気持ちを表現されました。

選者の古谷龍太郎先生は、
『幼児から老人までの、いろいろな状況下にある人々の明日の顔を、読者に想像させようとする作意さえ感じられて面白い。「ちょっと」が漢詩文で言う「字眼」であろうか、ここからこの句が呼吸を始めたようだ』と評されました。

退職を機に、地元の生涯学習サークルで川柳を始めた田辺さん。平成29年から毎年、NHK学園主催の川柳大会にご投句を続けていらっしゃいます。もちろん次回作も楽しみにお待ちしております!

 

窓辺からは、咲き始めた桜たちも授賞式を見守っていました。みなさま受賞おめでとうございます!