秀歌を読もう(4)
短歌講座機関誌『短歌春秋』連載の好評連載「秀歌を読もう」第4弾です。
足立たずになりたる猫がおそろしき目付きにかはりしこと忘れ得ず
小池 光『サーベルと燕』

四年前に死んだ飼い猫を詠んだ歌。老い衰えて足が立たなくなった時に、それまでとは様子が一変したのである。かわいかった猫が恐ろしい目付きをするようになったのだ。
野生の動物にとって歩けなくなることは、すなわち死を意味する。飼い猫はそうではなく、餌をもらえるし世話もしてもらえる。けれども、足が立たないことは、本能的に恐怖をもたらすのだろう。敵に襲われても逃げられず、身を守る術がないのだから。
そんな怯えるような飼い猫の姿に、作者は生き物のありのままの姿を見たのだ。老いの現実や死が近づくことに対する怖れ。それは猫だけの話ではなく、人間も同じなのである。
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