秀歌を読もう(2)
学園短歌講座機関誌『短歌春秋』連載の歌人の松村正直さんによる「秀歌を読もう」第二弾です。
打明けて語りて
何か損をせしごとく思ひて
友とわかれぬ
石川啄木『一握の砂』

心に抱えている悩みや苦しみを思い切って友人に打ち明けた。でも、相手の反応はそれほど親身なものではなかったのだろう。こんなことなら言わなければよかったという苦さや後悔に包まれたのである。誰にでも経験があり共感を呼ぶ内容である。
特に「何か損をせしごとく」と心の暗い動きに正直に踏み込んだところが印象的だ。こんなふうに自分のみっともない部分をさらけ出して詠むのは意外と難しい。
そういう意味では、啄木の短歌の一つ一つもまさに「打明けて語りて」という種類のものであった。
そこに、時代を超えて変わらない親しみやすさと人気の秘密がある。
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