NHK学園高等学校教諭で歌人・「かりん」「gekoの会」所属の貝澤駿一さんから『短歌コラム』が届きました。貝澤さんの「短歌」との出会いにも触れています。
小さい黒板
NHK学園の登校2Kクラスの教室には、小さな黒板があります。担任の僕が気に入っている短歌や詩、小説の一節などを、スクーリングがある毎週水曜日~金曜日の朝に書いています。
誰も見ていなくても、毎朝こっそり続けている僕だけの習慣です。
これはもともと、歌人の千葉聡さんが、ツイッターにのせている「小さな黒板」の写真を見て、自分も教員になったらぜひやってみようと決めていたものです。僕自身、高校生のころに短歌が好きになり、それからもう十年以上になりますが、小学校から親しんでいる野球と並んで、一生好きでいられるライフワークだと思っています。
高校生の僕が出会った、
忘れられない作品をふたつ紹介します。
こころとは脳の内部にあるという倫理の先生の目の奥の空
小島 なお『乱反射』
気だるい雰囲気の倫理の授業で、先生が放った「こころとは脳の内部にある」、そんな一言に胸を打たれたのでしょうか。倫理の先生の澄んだ瞳の向こうに、どんな空が見えるだろう。他者の見ている世界を想像することは、大切なコミュニケーションのひとつですね。
「おはよう」に応えて「おう」と言うようになった生徒を 「おう君」と呼ぶ
千葉 聡『そこにある光と傷と忘れもの』
新米の先生が、生徒と必死にコミュニケーションをとろうとしています。相手のことを理解してあげたいという優しさが、「おう君」のこころを少しずつ開いていくのです。「おはよう」と「おう」という短いやり取りの中に、「教育って何だろう」という深い問いが含まれているような気がします。
短歌とは、誰かの考えていることを自分の「こころ」に共有するというコミュニケーションのツールだと思います。でも、堅苦しく考えずに、いま自分が思っていること、周りのみんなに知ってもらいたいことを、言葉にしてみるだけでもいいのです。みんなもぜひ、短歌を作って友だちと「コミュニケーション」の輪をひろげてみてください。
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