ようおいでたなもし 松山俳句通信【第43回】

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2024.03.19

「松山俳句通信43回目」が届きました!今回は大洲の古い町並みと大洲城のお話です。大洲の桜もきっときれいでしょうね~

 

大洲のキャッスルステイ!

 この日は松山を飛び出し、特急列車で一時間ほどの大洲の街へ。
 

駅から右に折れて、旧市内方面に歩くと、肱川の河畔に大洲城の天守閣が見えてきます。城下に古い町並みが残るこの町、実は二年連続で世界一に輝き話題になりました。世界の持続可能な観光地を認証する「Green Destinations Story Awards 2023」にて、町屋・古民家等の歴史的資源を活用した「観光まちづくり」が評価され、「文化・伝統保全」部門で世界1位の表彰を受けたのです。ちなみに、前年は古民家を宿泊施設に改修する取り組みで、世界1位を受賞しました。
 

そして、大洲といえば何と言っても「キャッスルステイ」が知られています。2020年7月から、大洲城の完全復元天守に貸し切りで泊まることができるようになりました。城主加藤貞泰の⼊城体験も組み込まれており、着物や甲冑をレンタルして、鉄砲隊の実演に参加できます。伝統芸能(神楽等)の鑑賞に加えて豪華な夕⾷をとり、城主の気分をたっぷりと味わえます。ホームページによると、一泊二日二名利用のプラン(朝食1回 夕食1回)でおひとり様66万円だそうです。でも、それだけの価値はあると思いますよ。
 

さて、その大洲城への登り口には俳人松根東洋城の大洲旧居があります。東洋城本人は東京の築地生まれなのですが、実は宇和島伊達家の家老職の子孫なのだそうです。また、母親は宇和島藩主の娘だったらしく正に名門の家系でした。大洲には判事の父親の赴任に従い8年在住、大洲尋常高等小学校へ通ったとのことです。そして旧居の入り口には、東洋城の作品が石碑に刻まれていました。
 

寂しさや昔の家の古き春  東洋城

晩年、東洋城が大洲の旧居に立ち寄り、「幼時を母を憶ふ」と詠んだ一句です。東洋城は愛媛県尋常中学校時代に英語教師としての夏目漱石と出会い、のちに俳句の指導も受けました。正岡子規の薫陶も受け、ホトトギスにも参加しています。大洲も松山も、東洋城にとっては人生の原点だったのでしょうね。
愛媛松山にお越しの際は大洲まで足を伸ばしてみませんか。また新たな発見があると思いますよ。