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WEBで読む『短歌春秋』精選/「秀歌を読もう」「秀歌を読もう」 与謝野晶子・石川啄木

 

NHK学園の短歌通信講座の学習を支える、機関誌『短歌春秋』には短歌づくりに役立つ特集をはじめ、一諸に学んでいる受講者の作品やお声を掲載しています。

 

今回は『短歌春秋』の歌の鑑賞記事「秀歌を読もう」をご紹介します。NHK学園の短歌講座の講師などが選んだ秀歌1首を取り上げ、作者や作品の背景などを踏まえて、その歌の魅力を解説しています。

 

 今回は、与謝野晶子と石川啄木の1首をご紹介します。

(取り上げる作品は、2011年11月~2023年4月に発行の短歌講座機関誌『短歌春秋』「秀歌を読もう」より抜粋した作品・講評になります。)

与謝野晶子の一首

短歌 秀歌4 与謝野晶子

 

 『みだれ髪』は、今(2012年)から百十一年前に出版されました。自由奔放な詠風が当時の青少年に大きな刺激を与え、石川啄木も北原白秋もその影響を受けました。難解な歌が多い歌集ですが、この一首は分かりやすく、多くの人の支持を得ています。「花野」は俳句では秋の季語ですが、ここでは春の趣が濃く漂っています。「月明りの美しい宵に、私は草の花の咲き乱れた野へ、ほれぼれと出て来た。なんだか恋人がここで待っているような楽しい気分で出て来た」と自ら解説しています。鉄幹と巡り合ったばかりの頃の歌で、清潔で純朴な思いが吐露されており、晶子お気に入りの一首です。(古谷智子)

 

石川啄木の一首

短歌 秀歌5 石川啄木

 

 

 この「停車場」は、東北や上越から上京した人々が降り立つ上野駅です。明治16年に開業しました。啄木は明治41年、小説家として身を立てることを目指して上京しましたが、うまくゆかなくて挫折しています。彼は岩手の人ですから、東北弁(岩手弁でしょうか)が懐かしいのです。混雑する人ごみの中へ、わざわざそれを聴きにゆくのは、都会の生活に傷ついた啄木の望郷の思いです。〈聞〉ではなく〈聴〉という用字が、ふるさとの訛にじっと耳を傾けている姿を彷彿させます。啄木が26歳で亡くなったのは明治45年4月、明治が終わる三月(みつき)前のことでした。それから百年がたちました。(黒木三千代)

 


 

 

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