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WEBで読む『短歌春秋』精選/「秀歌を読もう」岡井隆②

NHK学園の短歌通信講座の学習を支える、機関誌『短歌春秋』には短歌づくりに役立つ特集をはじめ、一諸に学んでいる受講者の作品やお声を掲載しています。

 

今回は『短歌春秋』の歌の鑑賞記事「秀歌を読もう」をご紹介します。NHK学園の短歌講座の講師などが選んだ秀歌1首を取り上げ、作者や作品の背景などを踏まえて、その歌の魅力を解説しています。

今回はNHK学園生涯学習50周年記念「岡井隆賞」の新設にちなみ、短歌講座の創設・監修者の岡井隆先生の作品を前回に続いて取り上げ、ご紹介いたします。

(取り上げる作品は、2011年11月~2023年4月に発行の短歌講座機関誌『短歌春秋』「秀歌を読もう」より抜粋した作品・講評になります。)

短歌 秀歌4 岡井隆2

 

昨年(二〇二〇年)逝去した岡井隆は春の歌人でした。彼は春が好きだったらしく、印象的な春の歌を数多く作っています。この歌は、彼が異性とともに東京を去り、九州を流浪していた頃の歌。「いろくづ」とは魚のこと。早春の頃、玄界灘の冷たい潮の流れによって魚たちの身は引き締まります。その潮が育んだ魚を行商の女性が売りにきたのでしょう。「魚いらんかね~、いらんかね~」という声が、戸口に響き、それが街中をあてどなくさすらってゆきます。その声を聞きながら、岡井もまたあてどない流離の思いを噛み締めたに違いありません。「うしほ」「はぐくみ」「いろくづ」「さすらふ」といったふくよかな言葉が美しく響き合っています。(大辻隆弘

 

 

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