ようおいでたなもし 松山俳句通信【第21号】

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2020.08.31

松山の俳句伝道師 伊予吟会 宵嵐(いよぎんかいよいらん)さんから、「松山俳句通信」が届きました!

昨日50回目のお誕生日を迎えられた、ダンディ宵嵐さん。益々のご健吟をお祈り申し上げます!

稲荷山六角堂常楽寺

松山城の東側、私の散歩コースに気になる場所があります。赤い鳥居の稲荷神社なのに、なぜか狸が祀られているような。中に足を踏み入れてみると、やはり大型の狸の置物が据え置かれていました。さらに奥まで進むと、祠の中に狸の焼き物が所狭しと置かれています。

稲荷神社なのに・・・。

敷地内を散策してみると、六角堂もあるし立派な「狛狐」もあります。

稲荷神社に鎮座しているキツネは「神の使い」だから当然なのですが、そもそも常楽寺という寺院の名前が冠されていますし、益々謎が深まります。  色々調べてみました。元々髑髏で人を脅かす悪い狸がいたそうです。この六角堂の住職にとっちめられた挙句、髑髏の代わりに法衣を与えられて改心したとか。そんな逸話が残っていました。  

古来我が国では神仏習合が進み、神社の境内の中に寺院があったり、お寺の中にも守護神として神社を祭るなどの経緯があります。東海地方でもっとも有名な豊川稲荷しても正式名は、「宗教法人 豊川閣妙厳寺」なのだそうです。この稲荷山六角堂についても、豊川稲荷から分祀されたと言われていますので、神仏習合の状態が自然に残っているのかもしれませんね。

 

狸死に狐留守なり秋の風  子規

鶏頭の黄色は寂し常楽寺  漱石

ともに明治28年の句で、この常楽寺を詠んだものです。

明治維新で「神仏分離令」が出され、昭和になって元の神仏習合に戻ったのでしょうか。子規と漱石に聞いてみるしかないようです。