「応募してみたいけれど、選ばれる自信がない」「題詠って難しそう」——NHK全国短歌大会に興味はあっても、最初の一歩をためらっている方は少なくありません。そんな方にこそ見ていただきたいのが、第27回大会で選者を務めた歌人・松村正直さんと、大会アンバサダーとして当日詠の選も担当した笹公人さんによる対談「大会おしゃべりナイト!」です。「いい歌は目に飛び込んでくる」は本当か——。選歌の本音から題詠のヒントまで、参加者から寄せられた11の質問に、おふたりが飾らない言葉で答えています。
この動画は、2026年5月に開催されたオンラインイベントのアーカイブです。大会当日と事前アンケートで参加者から寄せられた質問のなかから厳選した11問に、おふたりが答えていく約60分。堅い講義ではなく"おしゃべり"スタイルなので、短歌をはじめたばかりの方でも気軽に視聴できます。
たくさんの応募作品のなかから、一首一首はどのように読まれているのか。応募する側からは見えない「選ぶ側」の風景を、おふたりが率直に語っています。
笹公人さん:
「いい歌を見逃さない——それに尽きます。(中略)でもやっぱり、自分が一番いいと思う歌は自分で採りたいという気持ちで、かなりの緊張感を持ってやっています」
松村正直さん:
「僕が大事にしているのは、歌の中に『その人ならでは』の部分があるかどうかです。ものの見方でも、修辞でも、言葉の選び方でも、素材でもいい。どこか一つでも、その人じゃないとできない部分があると、歌はぐっと強くなります。最大公約数のような、誰が読んでも同じになる歌は、やはり弱い」「上手な歌」よりも先に、「自分にしか詠めない一首」。応募作品を考えるうえで、いちばん心強い視点かもしれません。
「題からイメージを膨らませるのが難しい」という参加者の声に対して、松村さんからは、難しい題の方が意外といい歌ができるのではないかという視点が示されました。
松村正直さん:
「自由題だと結局自分の好みや偏りの中でしか歌を作らない。たとえば『アゼルバイジャン』なんて、題詠で与えられない限り自分から使うことはまずないですよね。縛りが逆に、普段使わない筋肉を動かしてくれる。難しい題の方が、思いがけない歌が生まれる刺激になるのかもしれません」第28回大会の題詠の題は「間」。この話を聞いてから向き合うと、お題が少し違って見えてくるはずです。
誰もが一度は抱く「どうしたら上達するのか」という問いにも、おふたりは正面から答えています。
笹公人さん:
「いろんな人の歌をたくさん読んで、いっぱい書く。それに尽きますね。読むことが、やがて自分の栄養になっていく」そして対談の終盤、松村さんからはこんな言葉が贈られました。
松村正直さん:
「30歳でも、50歳でも、出会った時がその人のスタートです。早く出会ったからいい歌ができるとは限らない。何歳からでも出会い直せるのが、短歌のいいところだと思います」
ここでご紹介したのは、11の質問のごく一部です。動画では、「いい歌は目に飛び込んでくる」は本当かという問いへのおふたりの答えをはじめ、連作の題のつけ方や歌の並べ方、「どうしたら選者になれますか?」という質問への意外な回答など、ここには書ききれない話が続きます。肩の力を抜いて聞ける約60分、家事や通勤のお供にもおすすめです。
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動画を見て「応募してみようかな」と思ったら、そのタイミングがはじめどきです。第28回NHK全国短歌大会は、自由題・題詠(今回の題は「間」)ほか、目的に合わせて選べる部門をご用意しています。応募締切は2026年11月16日(月)必着(ネット投稿は同日23:59まで)です。